榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

人類の祖先は四足歩行から直立二足歩行に移行したのではなかった・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2718)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年9月25日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2718)

ウラギンシジミの雄(写真1、2)、ウラナミシジミの雄(写真3)、雌(写真4~6)、ヒカゲチョウ(写真7、8)、キタテハ(写真9、10)、ツマグロヒョウモンの雄(11、12)、サトキマダラヒカゲ(写真13)、モンキチョウ(写真14)、アカボシゴマダラ(写真15)、アオスジアゲハ(写真16)、キアゲハ(写真17)、ナガサキアゲハの雄(18)をカメラに収めました。

閑話休題、『直立二足歩行の人類史――人間を生き残らせた出来の悪い足』(ジェレミー・デシルヴァ著、赤根洋子訳、文藝春秋)では、人類史を根底から覆す可能性のある驚くべき仮説が紹介されています。

直立二足歩行は、人類における最大の特徴と考えられています。約40億年に亘る生命の歴史の中で、人類だけが直立二足歩行をする生物というのが、現在の定説です。

ところが、ドイツの古生物学者、マデライネ・ベーメが、1100万年以上前にヨーロッパに棲んでいた化石類人猿、ダヌビウス・グッゲンモシが、脚の骨の形や背骨がS字状にカーヴしていたことから、直立二足歩行をしていたと主張したのです。さらに、米国の古人類学者、キャロル・ウォードが、1000万年前にヨーロッパに棲息していた化石類人猿、ルダピテクス・フンガリクスも、骨盤の形から、二足歩行をしていたと主張したのです。これらの主張は、人類史を大きく変えてしまう可能性を秘めています。人類は、チンパンジーに至る系統と分かれた後で、直立二足歩行を進化させたのではないかもしれないからです。直立二足歩行で木の上を歩き回っていた類人猿がたくさんいて、その中の一つの系統が人類になっただけかもしれないからです。

著者のジェレミー・デシルヴァは、最新の研究の流れまでを臨場感豊かに描き出しています。人類史に関心のある者には見逃せない一冊です。