オオカミのオスは騎士道精神を持っている・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2988)】
陸上を歩くアメンボを初めて見ました(写真1)。その後、池に飛び込み、水面をスイスイと泳いでいきました(写真2)。フキバッタ亜科の一種と思われる個体(写真3)、スッポン(写真4、5)、カイツブリ(写真6)、マガモの雄(写真7)をカメラに収めました。ヤブカンゾウ(写真8)が咲いています。ノカンゾウ(写真9)の紅色が濃いものはベニカンゾウとも呼ばれます。因みに、本日の歩数は11.347でした。
閑話休題、アーネスト・シートンの動物文学『シートン動物記』ならぬ、動物記録の『シートン動物誌(2)――オオカミの騎士道』(アーネスト・シートン著、今泉吉晴監訳、紀伊國屋書店)を手にしました。
予てオオカミの体色がヴァラエティに富んでいることが気にかかっていたが、本書には、こうあります。「オオカミ類では、もともと体色は種の隙別の特徴になりにくい。マニトバ州では、体色の基調が灰色、黒、それに白のオオカミが見られる。フロリダ州のオオカミはほとんど黒で、逆に北極圏のオオカミはほとんどが白であるが、例外も多い。また、グレート・プレーンズには黒と白の両方のオオカミがすんでいる」。
すみ場所――。「アメリカのオオカミの分布域は、広大なアメリカ大陸のほとんど全域におよんでいる。つまりオオカミは、亜熱帯気候のテキサスの低地でも、また凍てつくような北極海の島々でもおなじように快適に過ごせる。水のなか、南西部の乾燥した焼けつくような砂漠、それにシロイワヤギのすむ吹きさらしの高山の山頂部は別にして、オオカミはひらけた平原、樹木が生い茂る森、起伏の激しい高地、うっそうとしたやぶ地、そのほかどんな場所にも適応し、すみ場所にしている」。
配偶行動――。「オオカミは一夫一妻制だとされる。もし実際そのとおりだとすれば、それは一夫一妻制の博物学にとって、きわめて重要な意味をもつ。そこで、私はオオカミが一夫一妻制であることを証明する証拠をしっかりと示しておきたい。・・・ダコタのオオカミ猟師バッド・ダルリンプルは、オオカミの父親はいつも家族のそばにいて子育てや子守りを手伝う、と事実をあげて書いている。こうした数々の証拠から、オオカミはすくなくとも繁殖期のあいだはつがいで過ごす、と結論できる」。
生涯つづくつがい関係――。「私はオオカミの配偶関係は生涯つづく、と考えている。その証拠に私は、性的な衝動が生じない時期に雌雄がともに行動する場面を何回も見てきた。いっしょにいる相手がメスではなく小さなオスだとしたら、オスは相手にそう親切な態度をとりはしないだろう。この事実は、雌雄のきずなが生涯つづくことを示している。・・・性的衝動がまったくない時期を含めて、メスにはつねにやさしい気配りと親愛の情をみせている。これらの事実はどれも、つがいのきずなが生涯つづくことを意味すると考えてよいと思う」。シートンは、このメスをだいじにするオスの習性を「騎士道精神」と呼んでいます。
よき父親――。「ほとんどのオオカミ猟師は、父オオカミには巣穴の近くに特別の高みの場所があって、家族に危険がおよばないように見はっているのを確認している」。
「この章で私は、オオカミの勇敢さ、騎士道精神、強さ、遊び好きな性格、忠誠心、獰猛さ、親しみやすさ、思いやり、英雄的な態度、それにやさしさなどについて、さまざまな証拠をあげながら論じてきた。悪意に満ちた人間社会のうわさ話に終止符を打ち、この動物の誠実で勇敢な姿を読者に示したいというのが、私の願いだった」。
シートンの溢れるようなオオカミ愛がひしひしと伝わってきます。