榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

最後の一行が衝撃的なミステリー短篇『最終列車』・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3167)】

【月に3冊以上は本を読む読書好きが集う会 2023年12月18日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3167)

シメ(写真1)、アオジの雌(写真2)、シジュウカラ(写真3)、カワラヒワ(写真4~6)、ツグミ(写真7~10)、ムクドリ(写真11、12)、ジョウビタキの雌(写真13、14)、ラクウショウの落葉(写真15)をカメラに収めました。散歩中のプードル(雄、2歳。写真16)に出会いました。因みに、本日の歩数は11,266でした。

閑話休題、ミステリー短篇集『死の10パーセント』に収められている『最終列車』は、読後に深い余韻を残す作品です。ミステリーとしての魅力を備えているだけでなく、人間にとっての決断とは何かを考えさせられます。

まずまず成功した三流弁護士のエリオット・ヘイグは、「バーでひとりすわって過ごしてきたが」、「数時間飲むうちに、いつもと同じく、いまこそ実行すべきだとういう気がしてきた。実行すべきことは、漠としているが重大であり、ありとあらゆる含みがある。それは、ずっと前から考えてきたとおり、ある人生から別の人生へと大きく飛躍することだ」。

「鉄道の駅に着く。とはいえ、こういうことは前にもあった。それも頻繁にだ。汽車が出発するのが見えるところまで行って、そのたびにこう思う――あの汽車に乗るべきだった、と。実際に乗ったことは一度もない」。

ヘイグは今夜こそと駅に急ぐが間に合わず、列車は出ていき、乗りそこなってしまいます。

「すんでのところで乗りそこなったことを深刻に悩むなんて、あまりにもばかばかしい。それに、早朝の汽車だってあるだろう。駅舎にもどって待てばいい。ヘイグは尋ねた。『あすの朝いちばんの列車は何時に出る?』」。これに対する駅員の言葉――本作品の最後の一行――が、何とも衝撃的なのです。