榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

37歳で生涯を閉じた北条時頼は、器量の大きい、魅力的な人物だった・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3333)】

【読書の森 2024年5月27日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3333)

アゲハ(写真1)、アカボシゴマダラ(写真2)、シオヤトンボの雄(写真3)、シオカラトンボの雄(写真4)、雌(写真5)、ハグマノキ(別名:ケムリノキ、スモークツリー。写真6、7)、ヒメウツギ(写真8、9)、バイカウツギ(写真10)、サツキ(写真11)、クチナシ(写真12、13)、クロタネソウ(学名:ニゲラ・ダマスケナ。写真14~16)が咲いています。

閑話休題、私は出家姿の北条時頼が登場する謡曲『鉢木』が大好きです。

北条時頼――誤りて征夷の権を執る』(山本隆志著、ミネルヴァ日本評伝選)は、『鉢木』に代表される時頼の廻国伝説について、現在では時頼の廻国を伝説ではなく歴史的事実とする説が多数提出されているが、「私はいま分かっている史料の限りでは、廻国じたいを歴史的事実として理解するのは困難であると考えている」と述べています。一歩譲って史実ではないとしても、時頼が、不当な扱いを受けている人間を見殺しにせず公正な裁きを行った人物と人々に認識されていたことが、この逸話の根底にあると考えていいでしょう。

●兄・北条経時の病死により執権職を継ぐことになった20歳(数え年)の時頼は権謀術数にも長じた政治的人間であったこと、●1247年の宝治合戦で、時頼(21歳)は三浦氏を滅亡させることには消極的であったこと、●時頼(25歳)は、蘭溪道隆、円爾弁円などから禅の教えを熱心に学んだこと、●『徒然草』に時頼の質素な生活ぶりを示す話が記されていること、●時頼は30歳で出家したこと、●時頼(34歳)は日蓮の「立正安国論」に一定の理解を示していたこと、●時頼(35歳)は幕府の裁判に公正無私を強く求めたこと、●時頼は37歳で病死したこと――など、多くのことを知ることができました。

著者が評しているように、「時頼は器量の大きい、魅力的な人物であった」ことを再認識することができました。読み応えのある一冊です。