榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

そして、ホモ・サピエンスだけが、生き残った・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3376)】

【読書の森 2024年7月8日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3376)

ホシギキョウ(別名:カンパニュラ‘アルペンブルー’、学名:カンパニュラ・ポシャルスキアナ。写真1)、ホタルブクロ(写真2、3)、ムラサキツユクサ(写真4)、カラー(写真5)が咲いています。

閑話休題、『サピエンス前史――脊椎動物の進化から人類に至る5億年の物語』(土屋健著、木村由莉監修、講談社・ブルーバックス)は、ホモ・サピエンスがどういう進化の道筋の末に登場したのかという問いに焦点が絞られています。

①約5億1500万年前の古生代カンブリア紀の海に出現した最古級の「ヒトに至る系譜」は、歯も顎も持たないサカナだった。ただし、眼は備えていた。

②約4億3900万年前の古生代シルル紀には歯を持つサカナが出現し、顎も持つようになった。そして、シルル紀の次の時代であるデボン紀には、四肢と指を持ち、2つの肺を備え、上陸に成功する。

③その後、羊膜と硬い殻の卵を持ち、水辺から離れ、「単弓類」が現れた。頭骨の左右それぞれの側面に穴が1つずつ開いた動物群であり、「ヒトに至る系譜」もこのグループに属している。

④横隔膜を備え、異歯性を獲得し、四肢を体の下に伸ばし始めた獣弓類が登場し、古生代の地上世界における覇者となった。しかし、約2億5200万年前に起きた史上最大の大量絶滅事件によって大打撃を受け、覇権を爬虫類に譲り渡すことになる。

⑤古生代が終了し、中生代が始まる。中生代は、「ヒトに至る系譜」にとって、雌伏の時代だ。特に中生代三畳紀の獣弓類の多くは小型種ばかりだった。いち早く大型化を遂げた爬虫類にとって、格好の獲物だったことは疑いない。しかし、そんな時代であっても、進化は止まらない。

⑥獣弓類の一グループとして前時代から命脈を残すことに成功したキノドン類は、発達した矢状稜と二次口蓋を獲得。噛む力が強化され、食事が「便利」になった。二生歯性も始まる。

⑦やがて、哺乳形類が登場。大きな眼窩などが獲得され、内温性や授乳による子育ても始まっていたとされる。

⑧中世代ジュラ紀から白亜紀にかけて、哺乳形類は、小型ながらも多様化を遂げることに成功した。その過程で、発達した舌骨を得たり、聴覚と咀嚼の分離によってより高度な聴覚を得たりする。そして、哺乳類が登場し、さらに真獣類が登場となった。真獣類には、やがて有胎盤類が登場した。

⑨約6600万年前の大量絶滅事件は、特に有胎盤類にとって「奇貨」となった。事件によって爬虫類とともに大打撃を受けたものの、事件後のわずか数万~数十万年でかつてない多様化に成功したのだ。

⑩正面を向いた両眼、3色を識別できる色覚、把握能力に優れた手足などの特徴を有する「霊長類」の登場となった。

⑪その後、紆余曲折を経て、内部が真っ直ぐで孔が隣り合って下を向く鼻、眼窩後壁、さらに発達した把握能力などを獲得し、いわゆる「サルの仲間」である旧世界ザルとも袂を分かち、尾を失い、「類人猿」の登場となる。なお、「雑食向きの臼歯」が発達した時期もこの頃だ。

⑫そして、「『類人猿の惑星』の時代」には、「オランウータンに至る系譜」と分かれ、「ゴリラに至る系譜」と分かれ、そして、ついに「チンパンジーに至る系譜」とも分かれた。この間、姿に現れる特徴というよりは、ゲノムでの変化が進んでいた。長い長い道のりだった。

⑬その後、さまざまな人類が登場しては消えていった。私たちホモ・サピエンスは、唯一生き残った人類だ。多くの人類が姿を消していく中で、ホモ・サピエンスが生き残った要因として、高い繁殖能力があった可能性が指摘されている。

本書のおかげで、ホモ・サピエンスに至る進化の道筋を、頭の中で思い描くことができるようになりました。