日本へ脱出する中国人が増加しているのはなぜか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3735)】
常緑ヤマボウシ(学名:コルヌス・ホンコンエンシス。写真1~4)、ザクロ(写真5~8)、アガパンサス(写真9)が咲いています。ザクロでアゲハチョウ(写真8)たちが吸蜜しています。マグワ(写真10)が実を付けています。キノコ(写真11、12)が生えています。タケノコを採る男性に出会いました(写真14)。我が家では、咲き始めたコクチナシ(写真15)が芳香を放っています。
閑話休題、『潤日(ルンリィー)――日本へ大脱出する中国人富裕層を追う』(舛友雄大著、東洋経済新報社)は、日本に押し寄せる中国「新移民」の実態に鋭く迫ったルポルタージュです。
「潤」は、最近、中国で流行っている言葉で、さまざまな理由から、より良い暮らしを求めて中国を脱出する人々を指します。多くの中国人アッパーミドル層が日本に「潤」してきているが、いったい何が彼らに祖国を去る決心をさせたのか?
どういう中国人が日本に来ているのか?
なぜ他でなく日本なのか?
日本で日々何を思いながら暮らしているのだろう?
著者の粘り強いインタヴューによって、これらの疑問が明らかにされていきます。
▶悪化を続ける受験戦争を避け、良質な教育を求めてくる一家
▶割安なタワマンなどを通じて資産保全を図る中年層
▶毒された情報空間から抜け出し、自由な言論空間を享受したい知識人
▶行き過ぎた愛国主義を恐れるうちに、安心安全なリタイア生活を過ごしたいと思うに至った経営者
▶地方の開拓という夢に懸ける投資家
――これらの人々に共通しているのは、状況の悪化する中国から脱出したいという強い思いです。
「日本での生活は、歳月静好(平穏な歳月を送る)ですね。小確幸(小さいけど確かな幸せ)を噛みしめています」、「あれ(東京行きの日本航空26便)が私たちを苦難に満ちた海から救い出すノアの方舟だよ」という言葉が、とりわけ印象に残りました。
日本人が気づかぬうちに、新移民たちが既に教育、不動産、ビジネスなど多くの分野でインパクトを与えつつあること、長期的には、経済エリートや政治エリートが誕生する事態すら想定されること――にも言及されています。
本書のおかげで、いかに何も知らなかったのかに気づくことができました。