榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

トランプ・ショックの本質は関税ではなく、通貨だ。このトランプの企ては必ず失敗する・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3853)】

【読書の森 2025年10月10日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3853)

エゾビタキ(写真1)をカメラに収めました。ザクロ(写真2~4)が花と実を付けています。イチジク(写真5)、サザンカ(写真6)、ゴーヤー(写真7)、カラスウリ(写真8~10)、ヤブサンザシ(写真11)、ローゼル(学名:ヒビスカス・サブダリッファ。写真12)、ユウガオ(写真13)、スイカ(写真14)が実を付けています。

閑話休題、『基軸通貨ドルの落日――トランプ・ショックの本質を読み解く』(中野剛志著、文春新書)は、2025年5月31日に書き上げられているので、この時点でトランプ・ショックを論じるのは、勇気を要したことでしょう。

本書は、いささか学術的なので、経済理論等の部分はすっ飛ばし、著者が読者に伝えたいのだろうと思われることを、私の独断で3つにまとめてみました。

第1は、トランプ・ショックの本質は、関税にではなく、通貨にあるということ。ドルの基軸通貨としての地位は維持しつつも、ドルを切り下げ、アメリカの製造業の競争力を強化するように、国際経済システムを作り変えようとしているのだ。国際通貨体制をアメリカに有利になるように、すなわちアメリカの経常収支赤字が削減されるように再編することを目論んでいるのだ。

第2は、このトランプの企ては必ず失敗するということ。その理由を知りたい向きは、本書を熟読玩味すべし。

第3は、トランプが力を入れている暗号資産は通貨としてはものにならないということ。その理由は、暗号通貨の価値を支える「稀少性」と本来の通貨に必要な「流動性」との間に、根本的な矛盾があるからだ。「17世紀前半のオランダで、チューリップの球根に途方もない高嶺が付くバブルが発生したことは有名であるが、単なる電子信号に過ぎない暗号通貨に比べれば、チューリップの球根の方がまだ価値の根拠がある。・・・その価値の根拠のなさという点において、暗号通貨は群を抜いている」。私事であるが、私は暗号資産を1BTCも所有していません。