「また君と一緒に仕事がしたい」と言われたい・・・【薬剤師のための読書論(2)】
日々、豊富な薬学知識を活用すると同時に、組織にあってリーダーシップを発揮しなければならない人にとって、『組織力――宿す、紡ぐ、磨く、繋ぐ』(高橋伸夫著、ちくま新書)は恰好の書と言える。
著者は、若者に対して、エールを送っている。「私たちは、努力している若者が好きだ。人には見えていないような陰の部分でも手を抜かず、一生懸命にやっている若者が大好きだ。もう少し要領よくできないものかと、いつもハラハラしているが、たとえ、すぐに結果は出せなくても、私たちは、君たちのする事をずっと見守っている。だから、いつか、君たちの力を本当に必要とする日がきたとき、私たちは迷わず君たちを選ぶだろう。そして、君たちと仕事を共にできることを心から誇りに思うはずだ」。
「組織力を宿す」「組織力を紡ぐ」「組織力を磨く」「組織力を繋ぐ」の各章で、具体的、実践的なヒントに出合うことができる。「経営の本質とは、一人ひとりでは突破できない難関を、皆で何とか切り抜けることにある。そのためには『組織力』を高めることが欠かせない」という著者の熱い思いが伝わってくる。
「日本企業の人事システムの本質は、給料で報いるシステムではなく、次の仕事の内容で報いるシステム」、すなわち、「次の仕事に差のつく『仕事の報酬は次の仕事』」ということだ。そして、著者にとって一番シンプルでまともな評価は、「また君と一緒に仕事がしたい」だというのだ。
著者は、「上司は部下をちゃんと見ているべきである。目が節穴では困るのである」と手厳しい。「細かいところまで見られなくても、『この上司は私がどんな仕事をしているか分かってくれている』と心のどこかで思うことができれば、部下は頑張れるものである」。私の経験から言っても、大いに納得できる。
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