榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

知らず知らずのうちに、私たちが囚われている10の思い込みと、その対処法・・・【あなたの人生が最高に輝く時(82)】

【amazon 『FACTFULNESS』 カスタマーレビュー 2019年3月5日】 あなたの人生が最高に輝く時(82)

ファクトフルネス

知らず知らずのうちに、私たちは思い込みに囚われていることがある。『FACTFULNESS(ファクトフルネス)――10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』(ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド著、上杉周作・関美和訳、日経BP社)では、思い込みを10に分類し、それぞれへの具体的な対処法を提示している。

「教育レベルの高い人も、世界中を飛び回っているビジネスマンも、またノーベル賞受賞者でさえ、事実に基づいて(ファクトフルに)世界を見ることができていないのです。なぜでしょう? その理由は、誰もが持っている『分断本能』『ネガティブ本能』『パターン化本能』『焦り本能』など10の本能にありました。この10の本能を抑えなければ、事実に基づいて正しく世界を見ることができません。いまある世界を正しく認識できなければ、社会問題を解決することも、未来を予測することも、危機に対応することもできないでしょう」。

「この本が世の中に残る一冊になるだろうと考える理由は、この本の教えが『世界の姿』だけではなく『自己の姿』を見せてくれるからです。知識不足で傲慢な自分、焦って間違った判断をしてしまう自分、他人をステレオタイプにはめてしまう自分、誰かを責めたくなってしまう自分。そんな自分に気づかせてくれ、少しだけ『待てよ、これは例の本能では?』とブレーキをかける役に立ってくれるのが、ファクトフルネスなのでしょう。ファクトフルな生活は、おそらくわたしを謙虚にしてくれ、癒してくれるはずです」。

10の思い込みと対処法

本書が挙げ10の本能と、それを抑える方法は、下記のとおりである。

①分断本能(「世界は分断されている」という思い込み)を抑えるには、大半の人がどこにいるかを探そう。

②ネガティブ本能(「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み)を抑えるには、悪いニュースのほうが広まりやすいと覚えておこう。

③直線本能(「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み)を抑えるには、直線もいつかは曲がることを知ろう。

④恐怖本能(危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み)を抑えるには、リスクを計算しよう。

⑤過大視本能(『目の前の数字がいちばん重要だ』という思い込み)を抑えるには、数字を比較しよう。

⑥パターン化本能(「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み)を抑えるには、分類を疑おう。

⓻宿命本能(「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み)を抑えるには、ゆっくりとした変化でも、変化していることを心に留めよう。

⑧単純化本能(「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み)を抑えるには、ひとつの知識がすべてに応用できないことを覚えておこう。

⑨犯人捜し本能(「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み)を抑えるには、誰かを責めても問題は解決しないと肝に銘じよう。

⑩焦り本能(「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み)を抑えるには、小さな一歩を重ねよう。