榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

情報統制が実施されている中国の人々は真実を知らないのか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(416)】

【amazon 『中国メディア戦争』 カスタマーレビュー 2016年6月13日】 情熱的読書人間のないしょ話(416)

千葉・流山の東部を巡る散策会に参加しました。文明10(1478)年に太田道灌に攻められたが、この城に拠って撃退した千葉氏方の武将・高城氏の前ヶ崎城の跡に立つと、当時の戦いの喊声が聞こえてきそうです。野馬土手がかなりの距離に亘り保存されています。広寿寺の如意輪観音には延宝6(1678)年の銘が入っています。文化13(1816)年の銘のある回国供養塔もあります。宝蔵院のサルスベリは貫禄があります。境内には八十八弘法大師石像が並んでいます。清瀧院の2.2mある金剛力士立像は迫力があります。境内のイチョウの大木が青空に聳えています。近くの畑には貝殻が散らばっており、この辺りに縄文時代の貝塚があったことが知られます。あじさい通りでは、いろいろな色のアジサイが満開です。竹林は風情があります。因みに、本日の歩数は20,486でした。

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閑話休題、『中国メディア戦争――ネット・中産階級・巨大企業』(ふるまいよしこ著、NHK出版新書)は、私たちの「中国では情報統制が実施されているので、人々は真実を知らない」という思い込みに訂正を迫ってきます。

「中国にいて最も地に足の着いた情報を得られるブログやSNS,ポータルサイトにアクセスする人に比べ、プロパガンダメディアでしかない人民日報や中央電視台をいまだに『中国のニュースソース』としている(日本人)先端ビジネスマンの多さに正直驚いた」と、著者は痛烈な皮肉を利かせています。

「インターネットを駆使して外国の報道や文献を漁り、メールで外国人専門家にインタビューする。SNSを使って現場の目撃者や当事者に接触し、起こった事象の詳細を理解する」。「もちろん、規制や統制もある。弾圧と呼べるほど厳しい目にあったジャーナリストもいる。だが、その中で中国のメディア関係者は常に次のステップを模索してきた」。「SNS時代に入って明らかなのは、人々が求め、彼らに情報を与えてくれた記事は、必ずと言ってよいほど多くの人たちにシェアされていくということだ。それが当局によって、1時間後、30分後、あるいは10秒後に消されようとも、まるでたんぽぽの綿毛を吹き飛ばすかのように、人々はシャアをして、一人でも多くの人に届けようとする」。著者は、このように中国の人々の強かさを指摘して、彼らの動向に希望を見出しています。

「ネットを主戦場に繰り広げられる、政府、巨大企業、メディアが入り乱れての情報バトル。この『戦争』の行方を握るのは、手のひらで読んだ情報をシェアし、世界を飛び回る中産階級たちである」。著者が期待を寄せている中産階級が、具体的に活用している海外メディアとは、どういうものでしょうか。①海外メディアの外国語サイト、②海外メディアの中国語サイト、③中国の翻訳サイトが流す海外メディア記事、④中国メディアの翻訳・引用記事および特派員報道――の4つが挙げられています。

ジャーナリストたちは、どういう工夫をしているのでしょうか。「多様な市場メディアが登場したとはいえ、社会生活のすべてに口と手を出す『大きな政府』の社会主義制度下において、メディア関係者が実際に目にしたことを正式に記事にできないこともまだまだ多い。真実を伝えようと正義感に燃えるジャーナリストたちは、取材中に見知った話を伝える手段をブログ(博客)に見つける」。

遮断されたツイッターとフェイスブックはどうなっているのでしょうか。「ツイッターとフェイスブックが遮断された後、世界的に流行するマイクロブログの潮流を遮断することはできないと気がついたのか、同年(=2009年)8月に政府の肝煎りでポータルサイト『新波網』がマイクロブログサービスを開始する。中国では『Microblog』の中国語訳『微型博客』を略した『微博 Weibo(ウェイボ)』と呼ばれるこのサービスが出現したことによって、『与えられたものを読むだけ』の時代から、『ネットユーザーなら誰もが気軽に発言することができる』ウェブ2.0時代に突入した」。

中国でウェイボに代表されるSNSが、これほど人気を博するに至ったのはなぜでしょうか。「それが中産階級とともに進化してきたウェブサービスであることが挙げられるだろう。手のひらで瞬時にやり取りができるSNSは、ブログや掲示板で他者とつながる楽しみを発見した人たちの生活スピードの変化にマッチした」。しかし、さらに変化が生じています。「人々は、オープンすぎてどこの誰が自分の発言を読むかわからないウェイボよりも、信頼できる友人を選んでやりとりできるクローズドな『WeChat』へと移動し始める。それは、もともと身近な人の口コミを信頼して暮らしていた中国人社会にフィットした『回帰』ともいえなくない」。

香港に14年、北京に13年半暮らした著者による本書は、中国国内のメディアの現在の実態を知り、今後を考える上で、見逃すことのできない一冊です。