榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

昔の銭湯は、庶民のささやかな非日常であった・・・【情熱的読書人間のないしょ話(654)】

【amazon 『絵でみる ニッポン銭湯文化』 カスタマーレビュー 2017年1月25日】 情熱的読書人間のないしょ話(654)

葉をすっかり落とした樹木が建物の壁に影を映しています。ジンチョウゲの芽が赤紫色に色づいています。ネギ、コマツナの葉が青々としています。ハシボソガラスが悠然と畑を闊歩しています。因みに、本日の歩数は10,579でした。

閑話休題、『絵でみる ニッポン銭湯文化』(笠原五夫著、里文出版)は、我々、昭和20~30年代に子供時代を送った者には、何とも懐かしい一冊です。

我が家の内風呂よりも、広々としている銭湯のほうが気持ちいいと、休日にはよく家族揃って近くの銭湯に出かけたものです。湯船にゆっくりと浸かりながら、また、湯上りのほてった体に扇風機の風を浴びながら、父と交わす会話は、普段の会話とは違う味わいがありました。

著者は、新潟から上京し、銭湯の住み込み小僧から始めて、やがて銭湯を経営するに至った、文字どおりの銭湯人ですが、銭湯の歴史・変遷、入浴する人々の生態、裏方の一日などが、著者自らが描くところの絵と文章で綴られています。

現在のスーパー銭湯もいいですが、昔ののんびりとした銭湯は、庶民にとって日常の中のささやかな非日常といった位置づけだったのです。