榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

ニワトリの野生の原種、セキショクヤケイを探して・・・【情熱的読書人間のないしょ話(660)】

【amazon 『ニワトリ』 カスタマーレビュー 2017年2月2日】 情熱的読書人間のないしょ話(660)

散策中、ほとんど人が通らない場所で、5m先のキジを見つけました。日没後、月、火星、金星がほぼ一列に並ぶ写真を撮ることができました。因みに、本日の歩数は21,927でした。

閑話休題、私はもともとニワトリの野生の原種、セキショクヤケイ(赤色野鶏)に興味を抱いていたのですが、テレビ映像で野生のセキショクヤケイの実際の姿を見てからは、ますます惹き付けられてしまいました。何十メートルもの高木の枝に飛び上がるとき、太陽にきらめく羽色の美しさ、胸を張って歩く気高い姿からかけ離れた、極端なまでの臆病さ、森林の奥にひっそりと棲み、現地の人も滅多に目にできない神秘性――が、その特徴です。

ニワトリ――人類を変えた大いなる鳥』(アンドリュー・ロウラー著、熊井ひろ美訳、インターシフト)には、ニワトリが人間とともに歩んできた歴史、ニワトリが人間社会で果たしている広範な役割、今日の産業化したニワトリが置かれている「絶滅よりも悪い運命」改善への提言――などが記されており、いずれも読み応えがあるのですが、私にとって一番面白かったのは、「野生の原種を探して」と「ニワトリの起源と進化」の章でした。

「1859年に出版された『種の起源』にニワトリのことはほとんど言及されていないものの、すべてのニワトリの起源はセキショクヤケイだという説は(鳥類学者、エドワード・)ブライスのものだと(チャールズ・)ダーウィンは記している。そこから派生する人為選択――すなわち家畜化――の論考は、10年近く先に延ばされた」。「(アルフレッド・ラッセル・)ウォレスがマラッカで採集したセキショクヤケイの亜種ガルス・がルス・バンキワが、古代のニワトリの祖先として最も有力な候補だというのが、ダーウィンの下した結論だ」。

ニワトリの種の起源や家畜化の歴史を解明する強力なツールとなるのがゲノム解読ですが、これを初めて行った人物として秋篠宮文仁の業績が挙げられているのには、びっくりしてしまいました。

東南アジアに棲息する野生のセキショクヤケイを直にこの目で見たいというのが、私の見果てぬ夢です。