榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

女優の杏は、真の意味の読書家だ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1129)】

【amazon 『BOOK BAR』 カスタマーレビュー 2018年5月26日】 情熱的読書人間のないしょ話(1129)

オキザリス・トライアングラリス(ムラサキノマイ)が薄紫色の花を咲かせています。ナスが薄紫色の花を付けています。ワルナスビが白い花を付けています。因みに、本日の歩数は10,987でした。

閑話休題、『BOOK BAR――お好みの本、あります』(杏・大倉眞一郎著、新潮社)を読むと、杏が真の意味の読書家であることが分かります。これまで、女優の読書に関する本にはがっかりさせられることが多かったので、ホッとしました。

杏曰く、「本との出会いは、人との出会いに似ている。偶然もあるし、必然もある。出会えた縁は何よりの幸いだし、それ以上に出会わない、出会えない縁も星の数ほどある。それらが連綿と連なって人生を紡ぐ糸になっているのだろう」。

「老若男女に愛される、火を噴く作家――『生きてるだけで、愛。』本谷有希子」については、こういう会話が交わされます。「●杏=独特のブラックユーモアみたいな部分もありながら、がーっと引き込んでいくみたいなところが作品の中にもありました。●大倉=本谷さんは、一人だけ火を噴いてるような作家という感じがするんですよ。人の持っているドロドロした虚栄心や欲望などを隠さずに、それに対して苦しんだりもがいたり。そうしながらもニヒリズムには完全に落ちていかないで、もうどんな手段を使ってでも、自分はこれを乗り越えていくんだみたいな、そういう感じ。●杏=何か強烈な起承転結というか。●うん。それに圧倒されました。30ですよ、この人。●杏=79年生まれ。すごい」。

「陰謀渦巻く、江戸時代のロシア漂流記――『大黒屋光大夫』吉村昭」は、杏の推薦本です。「●杏=今回は、私が今最も気になっている人物、大黒屋光大夫の本です。吉村昭さんの『大黒屋光大夫』。江戸時代は鎖国していましたが、外界と接していなかったわけではありません。一番有名なのは漂流してやがてアメリカに渡ったジョン万次郎ですが、この大国屋光大夫は北へ北へと流され、ロシアに漂着して、なんとエカチェリーナ2世にまで謁見して、最終的には帰国を果たします。しかも、最初の陸地につくまでは7カ月間ひたすら流されていました。そしてロシアに滞在する期間が9年半。事実は小説より奇なりですね。上下巻ですが、あっという間に読めます。・・・彼が日本に戻ってきてからまとめた本や文献などの事実をもとにして書かれているんです。かなりリアリティがある、生々しい内容だったようです。最初は乗組員が17名くらいいたんですけれども、日本に帰ってくるのは3名、最終的に江戸に着いたのは大国屋光大夫含めた2名」。

「夫婦の間の『伝わっているはずだ』の落とし穴――『永い言い訳』西川美和」は、重いテーマの本です。「●大倉=『永い言い訳』を読んでください。長く夫婦生活を続けている方も、これから続けていく方も、こんなんじゃだめだと思えますよ。ちゃんと会話をしていただきたい。伝わってないと思ったら、伝える努力をしてください。そういう本でございます」。

「初心者にも! 『はぁ~、キュン♪』とできる時代小説――『おさん』山本周五郎」も、杏が取り上げた本です。「●杏=読んだあと、いいため息をつける本です。『ああ気持ちいいな』というさわやかな風がふわっと吹いたような『はぁ~』というため息です。山本周五郎さんの『おさん』という短編集。岸田今日子さんのエッセイ集『妄想の森』で紹介されていたので読んでみました。時代小説が10編入っていて・・・身分の差とか、社会の中でどうにもならないものがあるのが、現代が舞台のものとは大きく違う、時代小説特有の部分なんじゃないのかなと思います。この本はほとんどラブストーリーなんですね。●大倉=ラブストーリーだけなんですか? ●杏=悲恋というか、切なさはすごくある。寒くない雨がふったあとのさわやかな感じというか、けしてパッピーエンドがたくさん詰まっているわけではないけれども、読後感がものすごくさわやかなんですよ」。

私の心の中で、杏に対する好感度がさらに上昇しました。