榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

反権力を貫いた気骨あるキャスター・久米宏の半生記・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1241)】

【amazon 『久米宏です。』 カスタマーレビュー 2018年9月18日】 情熱的読書人間のないしょ話(1241)

我が家の庭の片隅のシロバナマンジュシャゲは、一日でこんなに開花が進みました。イチョウの実がたくさん落ちています。ゴーヤーの実が真っ黄色になっています。ブドウがたくさん実を付けています。クライミングウォールに挑戦する人を見かけました。因みに、本日の歩数は10,955でした。

閑話休題、『久米宏です。――ニュースステーションはザ・ベストテンだった』(久米宏著、世界文化クリエイティブ)は、久米宏の半生記です。

「『ニュースステーション』を始めるに当たっては、自分なりの青臭い目標が二つあった。一つは、僕たちは自由に発言し行動していいという生き方を伝えること。そしてもう一つは、自分が生きているうちに日本が再び戦争をしないようにすることだ」。

「僕にとって『ザ・ベストテン』は時事的、政治的な情報番組であり、のちの『ニュースステーション』のほうがニュースを面白く見せることに腐心したぶん、ベストテン的という意識が強かった。二つの番組は、僕の中で表裏の関係をなしていた」。

「ニュースステーション」では、オリジナルを最優先したコメントを心がけていたと語っています。「僕がコメントを口にするときに何よりも優先したのは、『まだ誰も言っていないことを言うこと』『誰も考えていない視点を打ち出すこと』だ。失敗に終わってもいい。他人が言いそうなことをすべて排除して、誰も言いそうにない言葉を選ぶことをまず考えた。そのためには、毎日、新聞は全紙の朝夕刊に目を通し、他局のニュース番組もチェックした。昼のニュースを見ながら『今日は何を言おうか』とぼんやり考え始める。他のキャスターが言ったコメントは、まず除外した。コメントの中身については誰とも相談せず、『これならいける』という自信ができてからでなければ口にしなかった」。久米がここまでオリジナルなコメントに拘ったのは、コメントがニュースの見方を変えるという信念を持っていたからです。

久米の久米たる所以は、メディアの役割は権力のチェックにあると考えているところにあります。「枠にとらわれないといっても、ニュース番組である限りキャスターのコメントには一つの方向性が必要だ。どこに軸を置くか。ひと言でいえば、それは『反権力』だ。メディア、特にテレビや新聞報道の使命とは、時の権力を批判すること以外にはないと僕は信じている。マスメディアが体制と同じ位置に立てば、その国が亡びの道を歩むことは、第二次世界大戦時の大本営発表を例に出すまでもなく歴史が証明している。現政権がどんな政権であろうが、それにおもねるメディアは消えていくべきだ。マスメディアは行政・立法・司法機関を監視し批判することが最大の仕事となる」。競って権力にすり寄ろうとする観のある現在のマスメディアの幹部たちは、この久米の言葉をどう聞くのでしょう。

本書を読んで、今更ながら、久米が気骨のあるキャスターであったことを再認識しました。