榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

大和政権とは血統的に無縁の応神天皇の河内政権が成立したという「河内政権論」・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1476)】

【amazon 『日本古代史と応神天皇』 カスタマーレビュー 2019年5月5日】 情熱的読書人間のないしょ話(1476)

野鳥観察会に参加しました。同一エリア内の数十mずつ離れた3カ所にキジの雄が陣取っています。ケーンと鋭く鳴き、母衣(ほろ)打ちしています。雄の1羽は雌と一緒です。コジュケイを目撃したが、素早く藪に走り込んだため、撮影できず。キビタキの囀りは何度も耳にしたが、姿を捉えることはできませんでした。バン、ニホンアカガエルをカメラに収めました。因みに、本日の歩数は14,705でした。

閑話休題、『日本古代史と応神天皇』(直木幸次郎著、塙書房)によって、直木幸次郎が提唱した「応神天皇に始まる河内政権論」を詳しく知ることができました。

直木の主張は、3つにまとめることができます。

第1は、4世紀末頃、大和を本拠地とする崇神王朝(大和政権)とは血統的に無縁の、河内を本拠地とする河内政権が成立したこと。著者は、天皇の和風諡号、皇位継承法、皇陵保護のための陵戸の設置、『古事記』における天皇の死亡年を示す崩年干支の分布――などの変化を、その根拠としています。

第2は、河内政権初代の応神天皇は、仲哀天皇の皇后である神功の子ではあるが、崇神王朝の仲哀天皇の子ではないこと(父系で大和政権との関係断絶)。著者は。応神が仲哀の死後、筑紫(北部九州)で誕生していること、仲哀紀に応神の出生記事がないこと――を根拠としています。

第3は、応神の子で後継者となった仁徳天皇の母が崇神王朝系の女性ではないこと(母系で大和政権との関係断絶)。著者は、仁徳の母が、崇神王朝の血統とは無縁の品陀真若王の女(むすめ)・中日売姫であることを根拠としています。

著者の「河内政権論」に反対する学者が多いことは承知しているが、私は、説得力のある植木説を支持します。