榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

トランプ大統領が放つ毒液。嘘っぱちMMTに騙されるな・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1685)】

【amazon 『日本の論点2020~21』 カスタマーレビュー 2019年11月27日】 情熱的読書人間のないしょ話(1685)

シャコバサボテン(クリスマス・カクタス、デンマーク・カクタス)が赤い花を、ネリネ(ダイヤモンド・リリー)がさまざまな色合いの花を、オキザリス・トライアングラリス(ムラサキノマイ)が淡紫色の花を咲かせています。

閑話休題、『日本の論点2020~21』(大前研一著、プレジデント社)で、さすが大前研一と思わせられたのは、異形の大統領・トランプが放つ毒液の分析と、嘘っぱちMMTに騙されるなという警告です。

ドナルド・トランプ大統領の毒液の分析は、見事です。「ドナルド・トランプという異形の大統領の出現によって、アメリカの伝統的な民主主義は音を立てて崩れた。最たるものが連邦議会である。アメリカの議会はトランプ大統領のツイッターで完全に形骸化してしまった。・・・行政府のトップが議会にも諮らずにツイッターだけで政策を発信し、政策実現のために議会の立法機能を無視して『国家非常事態』まで宣言してしまう。議会は指をくわえて見ているだけ――。これが大統領制民主主義を200年以上も続けてきたアメリカの現実なのである。・・・マスコミ嫌いのトランプ大統領は記者会見をやりたがらないから、新聞も大統領のツイッターに基づいて記事を書くしかない。新聞記者の仕事などまったく役に立たなくなってしまった。・・・トランプ大統領のツイッター民主主義は三権分立のみならず、第4の権力であるジャーナリズム、マスコミにも破壊的なダメージを与えたと言えるだろう。マスコミに都合の悪いことを書かれても、ツイッターで『フェイクだ!』と即座に反論して、自分の主張を展開すれば、世界中の人々に届く。たとえそれが嘘で塗り固められていても、である」。

「国内においては、トランプ・ベノム(毒液)によってアメリカの議会制民主主義が根底から破壊された。・・・2020年の大統領選挙でトランプ大統領が再選されようとされまいと、アメリカはもう元に戻らないと私は思っている。なぜならトランプ・ベノムにやられて一番痺れてしまったのはアメリカ国民だからだ。・・・ドナルド・トランプという破壊者が残した爪痕はあまりに深い」。

著者は、「国の借金を容認する、嘘っぱちMMT に騙されるな」と警告を発しています。「日本が抱える大問題の一つは国家債務に対する危機意識の低さだと私は思っているが、近頃は『日本はいくら国債を発行しても財政破綻しない』とか『借金なんて気にする必要ない。政府はもっと積極的に財政出動して、景気刺激をすべきだ』といった声まで聞こえてくる。そのような赤字容認派、赤字奨励派の論拠の一つに祭り上げられているのが、『現代貨幣理論(MMT:Modern Monetary Theory)』である。提唱者はニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授ら」。

「ケルトン教授は『巨額債務を抱えているのにインフレも金利上昇も起きない日本が実証している』『日本の景気が良くならないのは、インフレを恐れすぎて財政支出を中途半端にしてきたから』『MMTは日本が直面するデフレの解毒剤になる』とまで述べている。日本をMMTの実証モデルと見立てているようだが、これはまったくの見当違いである。ケルトン教授は日本経済の特殊性というものをまったく理解していない。・・・MMTの最大の問題点は『インフレにならない限り』という前提で理論を一般化していることだ。『インフレにならない限り、政府はいくら借金を膨らませても構わない』というのは、例えてみれば、『爆発しない限り、ダイナマイトをいくら部屋に置いてもいい』と言っているようなものだ。そんな部屋で暮らせるだろうか。やはり極力、危険物は取り除くべきだし、リスクを取り除いて少しでも安全にしておくことは、将来世代に対する現役世代の責務だと私は思っている」。この譬えは、迫力と説得力がありますね。