榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

日本の若者は韓国好きで、中高年男性は韓国嫌いという事実・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1803)】

【amazon 『反日韓国という幻想』 カスタマーレビュー 2020年3月22日】 情熱的読書人間のないしょ話(1803)

ニワウメ、スノウフレイク(スズランズイセン)が咲いています。あちこちで、さまざまな色合いのスイセンが咲き競っています。我が家の庭のハボタンが黄色い花を付けました。因みに、本日の歩数は10,072でした。

閑話休題、『反日韓国という幻想――誤解だらけの日韓関係』(澤田克己著、毎日新聞出版)を読んで、3つの気づきが得られました。

第1は、日本の若者は韓国好きで、中高年男性は韓国嫌いという事実が、データによって示されていること。

第2は、韓国が元慰安婦や元徴用工の問題に、なぜ、これほど拘るのか、その背景が明らかにされていること。

「朝鮮戦争で全土が焦土となり、その後も東西冷戦の最前線として緊張を強いられてきた韓国は、(冷戦終結によって)冷戦のくびきから解放された。東西ドイツのような統一はできなかったが、中国やソ連をはじめとする社会主義圏全体と敵対せざるをえなかった冷戦時代とはまったく違う。しかも『漢江の奇跡』と呼ばれた高度経済成長によって先進国経済へのテイクオフを果たし、冷戦終結が宣言される2年前となる1987年には民主化も達成した。・・・『あるべき歴史』『正しい歴史』を追求するようになった韓国社会では、1990年ごろから元慰安婦や元徴用工を支援する動きが出てきた。民主化の流れの中で、未解決の社会問題として『発見』されたといえる。冷戦下の韓国政府にとっては、歴史問題で日本との関係を決定的に悪化させるようなことはできなかったし、軍事政権は国民の不満を押さえつけることができた。反政府側にとっても韓国社会における最大の課題は民主化であり、歴史問題に関心を寄せるような余裕はなかった。ところが1987年の民主化で状況は変わった。民主化運動を担った人々は「自分たちが民主化を成し遂げた」という強烈な自負心を持つようになり、その中から政治家になったり、さまざまな問題を扱う社会活動家になったりする人々が出た。新しいテーマは、経済格差や福祉、人権といった韓国社会内部の問題だけではなかった。それまでは韓国内ですら関心を持たれることのなかった元慰安婦や元徴用工の問題に取り組もうという人たちが出始めたのだ。・・・さらに無視できないのは、保守派を含めた多くの韓国人にとって『元慰安婦や元徴用工の訴えを無視してきた』のは誇れる歴史ではないという点だ。韓国がまだ貧しく、民主化もされていない時代だったから仕方ないとはいえ、申し訳なかったとう感情を持つのは不思議ではない。そのことが、彼ら、彼女らにある種の『無謬性』を与え、アンタッチャブルな存在としたのではないか。韓国社会の議論を見ていると、そんな思いにとらわれるのである」。

第3は、韓国は本気で朝鮮半島の南北統一を考えているのか否かについて、著者自身の見解が表明されていること。

「文(在寅)氏のこうした(南北統一の)発言は、日本でそれなりに注目されたようだ。私は何回か『本気なのだろうか』と聞かれたので、『真面目に語っているという意味では本気だが、すぐ実現すると思っているかと聞かれればノーだろう』と答えておいた。将来の夢をビジョンとして提示するのが、韓国では政治指導者としての『正しい』姿勢なのだ。反対する党派から厳しい批判が出るのは当然のこととして織り込まれており、そこで論戦をすればいい。ただし論戦に熱中するあまり、どうやって実現させるのかという道筋作りはそれほど熱心に行われない。歴代の政権を見ていると、保守か進歩かを問わず、そうした傾向は同じである」。すなわち、背景には、韓国の国力が強くなったという自負と、「正しさ」に拘る韓国の伝統的な考え方があるというのです。

『反日種族主義』(李栄薫編著)が韓国と日本でヒットしている背景の分析も勉強になりました。

それでは、日本は韓国とどう付き合っていけばよいのか――著者はこう考えています。「日本と韓国は異なる歴史を持つ国であり、現在の国際社会における立ち位置や利害も異なる。無理に一致させることは難しいし、必要なことでもない。最初から『違う』ことを前提に考えれば、変な期待をして裏切られることもない。隣国だから仲良くしなければならないという決まりがあるわけでもない。ただ相手が嫌でも引っ越しはできないし、争うと互いに無駄な力を使うことになる。だから適切な距離感を保って、うまく付き合っていくしかない。それに、個人の付き合いと国家間の外交は全く別のものだ。韓国への望ましい向き合い方は結局、このあたりに収れんされるのだろう」。