突然、自殺した妻のことを何も知らなかった男の決意・・・【山椒読書論(360)】
【amazon 『立証責任』 カスタマーレビュー 2013年12月25日】
山椒読書論(360)
「3月の終わりに近いあの日の午後遅く、帰宅したアレハンドロ・スターンは、アタッシュ・ケースとガーメント・バッグを手にしたまま、やや上の空で玄関から妻のクララを呼んだのだ」。
『立証責任』(スコット・トゥロー著、上田公子訳、文春文庫、上・下巻。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)の主人公、敏腕弁護士のスターンは、愛する妻の突然の自殺に直面し、悲しみと疑問の只中に投げ込まれる。
自分は妻の気持ちを本当に理解していたのだろうか。やがて、56歳の男は、妻のことを自分は何も知らなかったのだということを痛切に思い知らされ、自殺の裏に隠されている秘密を自分の手で探り出そうと決心する。
時間が経過しても、古びないミステリの魅力を堪能できる。