生物の複雑な構造は、自然選択とは別の道筋でも生じるという主張・・・【山椒読書論(402)】
【amazon 「日経サイエンス2014年3月号」 カスタマーレビュー 2014年1月30日】
山椒読書論(402)
「日経エイエンス2014年3月号」(日経サイエンス社)に掲載されている「偶然が生む生命の複雑性」(C・ジンマー著、千葉啓恵翻訳協力、斎藤成也監修)は、生物の複雑な構造は自然選択が作用しなくても進化し得る、すなわち、自然選択とは別の道筋もあり得ると主張している。
「生物の複雑な構造は、自然選択によって環境により適応したタイプが選ばれ続けることで、単純な構造から徐々に進化した――というのが従来からの見方だ」が、「最近、一部の研究者は、自然選択が作用しなくても一種の副作用として複雑さが生じうると主張している」。「それ自身は生物に何の影響も及ぼさないランダムな変異によって複雑さが進化する例が見つかっている。『構成的中立進化』と呼ばれるプロセスだ」。
ショウジョウバエを用いた検証が興味深い。「実験室の隔離環境で育てられた(ショウジョウ)ハエは不利な変異が生じても集団内に広がるため、野生種よりも複雑になる」というのだ。