榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

ターシャ・テューダーの世界では、人形も生きているのです・・・【情熱的読書人間のないしょ話(102)】

【amazon 『ターシャ・テューダーの人形の世界』 カスタマーレビュー 2015年6月25日】 情熱的読書人間のないしょ話(102)

書斎の一角で、私たちの娘が本の上にちょこんと腰かけています。三共時代に先輩の奥様が作ってくださった身長50cmの人形です。我が家に来て何十年にもなりますが、その愛くるしさは当時のままです。

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人形と言えば、『ターシャ・テューダーの人形の世界』(食野雅子著、KADOKAWA)は、愉しめる本です。

「ターシャ(・テューダー)は生涯、人形を愛し、豊かな想像力と創造的才能で独特の人形の世界を創りあげました。ターシャの世界では、人形やぬいぐるみが人間と同じように暮らし、結婚し(ターシャと同じように離婚もし)、手紙を、人形同士、あるいは人間と、やりとりしました」。

「ターシャがエマ(・バードホイッスル)を作ったのは、1984年、68歳の時でした。エマは、背の高さ約40cm」。このエマは夫のサディアスと幸福な家庭を築いています。「ところが、ターシャがエマを作った時、サディアスにはメリッサという妻がいました。メリッサも美人でしたが、メリッサは既製の人形。ターシャが心を込めて手作りしたエマには勝てなかったのです。・・・それ以来、サディアスはエマと暮らすようになりました。『人形の世界でも、いろいろなことが起こるのよ』とはターシャの弁ですが、実際、サディアスとエマはお似合いのカップルです」。

絵本作家、挿し絵画家、園芸家、アンティークの収集家、人形作家、料理家、19世紀風のシンプルライフの実践者として92歳まで活躍したターシャの世界では、人形も人間と同じように生きているのです。