榎戸誠の個人的・出口治明フェスティヴァル（5）･･･【リーダーのための読書論（65）】

現役実業家の中で群を抜いた読書家はライフネット生命の会長兼CEOの出口治明氏だと思う。これまで氏ならびにパートナーの社長兼COOの岩瀬大輔氏の著作には敬服の念を抱いてきたが、このほど、出口氏の講演会を聴講し、直に会話を交わしたことで、氏の温かい人間性を実感することができた。facebookで「友達」になれたことを記念して、敢えて出口氏に断りを入れず、勝手に「榎戸誠の個人的・出口治明フェスティヴァル」をfacebook上で開催することに決めた。第5弾は、「保険料半額・保険金不払いゼロ・他社比較歓迎の生保を創り上げた男･･･【情熱的読書人間のないしょ話（241）】」。

★保険料半額・保険金不払いゼロ・他社比較歓迎の生保を創り上げた男

散策中に、オオバンとシジュウカラをカメラに収めることができました。赤茶色に色づいたメタセコイア、紅葉したイロハモミジ、イロハモミジと黄葉したイチョウのコラボレーションが秋の深まりを感じさせます。因みに、本日の歩数は11,093でした。

閑話休題、投資信託の世界で一番信用できる人物は澤上篤人、生命保険でのそれは出口治明だと、私は確信しています。その理由は、澤上はさわかみ投信の創業者として投資家を最優先し、出口はライフネット生命の創業者として契約者のことを一番に考えているからです。考えるだけでなく、その基本方針から1cmもぶれることなく経営で実践しているからです。

出口が創りたかった生命保険会社とはどういうものなのか、また、その夢の実現に向けて、数々の関門をどう突破してきたのかが、『直球勝負の会社――日本初！　ベンチャー生保の起業物語』（出口治明著、ダイヤモンド社）で率直に語られています。

「ライフネット生命の骨格となるビジョンをある程度整理しておこうと考えました。しばらく集中して考えた結果、3つのビジョンが浮かび上がってきました。それらは『保険料を半額にしたい』『保険金の不払いをゼロにしたい』『（生命保険商品の）比較情報を発展させたい』です。まったくのゼロスタートで白地に絵を描くように生命保険会社をつくるという滅多にない機会を与えられたのですから、この3つのビジョンは何としても実現したい、と固く心に誓いました」。3つのビジョンを貫くために、敢えて「独立系の生命保険会社をつくる」という道を選択することになります。

出口は実業家として仕事上の信念を曲げない人物ですが、その私生活も筋金入りです。「人間にとって何が一番の幸せでしょうか。何よりも、ワークライフバランスが取れていることではないでしょうか。それぞれの個人が自分の生きたいように人生を生きることができる、もしくは、自分の生きたい人生にチャレンジする機会が少なくとも一生に一度は与えられるような社会が私は好きだし、望ましいと思っています。決して仕事だけが人生ではありません。話は脱線しますが、私は本を読み、よく食べてよく寝る生活が大好きです（ようするにナマケモノです）。そして時間があれば地球上をくまなく旅したいと思っています」。

努力を重ねた結果、「ライフネット生命は、わが国で活動している生命保険会社46社の中で、定期死亡保険なら最も低水準の生命保険料を実現しました。また同時に、日曜・祝日を除いて最も遅くまで開いているコンタクトセンターも両立させることができました。枝葉を思い切って切り落として太い幹だけを残すことによって、私たちは、『保険料はできるだけ安く、コンタクトセンターはできるだけ長く』という当初の理想を実現したのです。ところで、商品を徹底的にシンプルにすることにこだわったのは、単に維持管理コストを引き下げたいという理由からだけではありません。実は私は、主契約（単品）のみの生命保険商品が一つの理想形ではないかと思っているのです」。遂に、シンプルで骨太な生命保険を創り上げることに成功したのです。

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