榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

榎戸誠の個人的・出口治明フェスティヴァル(2)・・・【リーダーのための読書論(62)】

【榎戸誠の情熱的読書のすすめ 2015年12月6日】 リーダーのための読書論(62)

現役実業家の中で群を抜いた読書家はライフネット生命の会長兼CEOの出口治明氏だと思う。これまで氏ならびにパートナーの社長兼COOの岩瀬大輔氏の著作には敬服の念を抱いてきたが、このほど、出口氏の講演会を聴講し、直に会話を交わしたことで、氏の温かい人間性を実感することができた。facebookで「友達」になれたことを記念して、敢えて出口氏に断りを入れず、勝手に「榎戸誠の個人的・出口治明フェスティヴァル」をfacebook上で開催することに決めた。第2弾は、「少し年上の先輩が語りかける仕事と人生のヒント集・・・【あなたの人生が最高に輝く時(17)】」。

少し年上の先輩が語りかける仕事と人生のヒント集

著者にも挫折・悩みがあった
入社10年目の羅針盤――つまらない仕事が楽しくなる』(岩瀬大輔著、PHP研究所)は、少し年上の先輩が、仕事について、人生についてのヒントを語りかけてくるといった感じの本だ。著者はネット生命保険のベンチャー企業を立ち上げ、順調に業績を伸ばしている若手経営者であるが、華麗なキャリアの陰に挫折や悩みがあったことにさり気なく触れながら、気負わずに筆を進めている。鬼面人を驚かすような発言はなく、どちらかと言うと至極真っ当なアドヴァイスが並ぶが、いずれも著者自身の実体験という裏付けがあるので説得力がある。

転職に逃げるな
著者は、「楽しい仕事はない。でも、楽しく仕事をしている人がいるのはなぜか」と問いかける。それは、「足る(満足する)ことを知らない」からだと言う。「何をもって満足すべきかを知らない人は、属している会社の環境が悪いのではと考え、そのうち転職を経験すると思います。そういう人は結局、転職先でも自分の仕事に満足できず、つまらないと感じるはずです。何度転職しても同じことの繰り返し。その結果、給料は上がらず、スキルも身につかず、人間関係も構築できず、ますます仕事がつまらなくなるという悪循環」と手厳しい。

「仕事なんてそもそも、楽しくないのが当たり前」で、そして「世の中、好きなことだけをやってお金がもらえるほど甘くない」が、楽しく働くための3つの仕事観が紹介されている。’@何をやるかよりも「誰とやるか」、’A自分にしかできない「何か」はあるか、’B社会に「足跡」を残したい――を大事にしてきたというのだ。

直ちに実行したいヒント
私の心に強く響いたアドヴァイスを挙げておこう。

●「よき相談相手は検索エンジンに勝る」。

●「面倒と思っていた(上司などへの)「報告」も、情報やアイデアを引き寄せるためのツールとして活用できるというわけです」。

●「判断力を高めるにはまず、とにかく睡眠をしっかりととることです」。

●「不採用通知は神様からの『今はそこ(その会社)に行くな』というメッセージ」。

●「(休日は)携帯を置いて、手帳を持って外に出かけよう」。