榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

少し年上の先輩が語りかける仕事と人生のヒント集・・・【あなたの人生が最高に輝く時(17)】

【MR・メディカル専門職の転職 2012年10月5日号】 あなたの人生が最高に輝く時(17)

著者にも挫折・悩みがあった

入社10年目の羅針盤――つまらない仕事が楽しくなる』(岩瀬大輔著、PHP研究所)は、少し年上の先輩が、仕事について、人生についてのヒントを語りかけてくるといった感じの本だ。著者はネット生命保険のベンチャー企業を立ち上げ、順調に業績を伸ばしている若手経営者であるが、華麗なキャリアの陰に挫折や悩みがあったことにさり気なく触れながら、気負わずに筆を進めている。鬼面人を驚かすような発言はなく、どちらかと言うと至極真っ当なアドヴァイスが並ぶが、いずれも著者自身の実体験という裏付けがあるので説得力がある。

転職に逃げるな

著者は、「楽しい仕事はない。でも、楽しく仕事をしている人がいるのはなぜか」と問いかける。それは、「足る(満足する)ことを知らない」からだと言う。「何をもって満足すべきかを知らない人は、属している会社の環境が悪いのではと考え、そのうち転職を経験すると思います。そういう人は結局、転職先でも自分の仕事に満足できず、つまらないと感じるはずです。何度転職しても同じことの繰り返し。その結果、給料は上がらず、スキルも身につかず、人間関係も構築できず、ますます仕事がつまらなくなるという悪循環」と手厳しい。

「仕事なんてそもそも、楽しくないのが当たり前」で、そして「世の中、好きなことだけをやってお金がもらえるほど甘くない」が、楽しく働くための3つの仕事観が紹介されている。①何をやるかよりも「誰とやるか」、②自分にしかできない「何か」はあるか、③社会に「足跡」を残したい――を大事にしてきたというのだ。

直ちに実行したいヒントの数々

数が多くなってしまうが、私の心に強く響いたアドヴァイスを挙げておこう。

●「気持ちよく働きたい、自分のスキルをもっと伸ばしたい、ハッピーになりたいというのであれば、上司を上手にマネージする方法を考えるべきです」。

●「よき相談相手は検索エンジンに勝る」。

●「相手の話を真剣に聞いていれば、その人のいいところの1つや2つ、簡単に見つかるはずです。そうしたいいところを見つけて相手のことを好きになる力(=惚れ力)が、ビジネススキルとして有効になるのです」。

●「面倒と思っていた(上司などへの)「報告」も、情報やアイデアを引き寄せるためのツールとして活用できるというわけです」。

●「目標とすべきロールモデル(自分もあのようになりたいと思う人物)を見つけよ」。

●「自分の取締役会を持て」、「自分を会社に見立てて、自分のいいところも悪いところも包み隠さず言ってくれる先輩や同僚、友人に助言者(メンター)になってもらうのです」。

●「自分の考えをうまく言葉に変換できないという人は、自分の考えていることをまず紙に書き出してみましょう。断片的な考えでも、紙の上に並べてみると整理しやすくなります」。

●「ノルマは達成できなくても気にしない。まずは取引先にコツコツ種をまいておく」。

●「うまくいっていない時はどっしりと、うまくいっている時は謙虚に淡々と」。

●「判断力を高めるにはまず、とにかく睡眠をしっかりととることです」。

●「イライラしている自分を冷静に観察せよ」。

●「今より幸せになる方法は2つある。人と比較しないことと、慣れない(いつも新鮮な気持ちを持ち続ける)こと」。

●「キャリアは努力よりも運命によって決まることのほうが多い」。

●「僕は社員によく、『会社は社員一人ひとりが成長するためのプラットフォームであり、その成長が会社のためにもなるのです』と言っています」――私事に亘るが、ゼロからCSOを立ち上げた7年間の社長時代、私が社員に言い続けた「企業というのは、そこで働く人たちが自分のやりがいを見つけ、自分を輝かすための舞台、そして自分の夢を実現する舞台だと考えています」と符合している。

●「天職というものは存在しない。悩みながら道を切り開き、その都度、懸命にやっていくこと自体がキャリアなのだ」。

●「公平公正な評価を期待してはいけない」。

●「不採用通知は神様からの『今はそこ(その会社)に行くな』というメッセージ」。

●「人生には仕事よりも大事なことがある。プライベートが充実してこそ仕事も充実する」。

●「結局、一番いい保険は何なのかというと、それは自家保険、つまり貯金です。何かが起こった時に備えてお金を貯えておく。これが一番だと思います。手数料も取られないし、引き出したい時にいつでも引き出せる」。

●「睡眠だけはしっかりとれ」、「漫然と過ごしているとつい忘れがちですが、最高の状態で仕事に臨むことは社会人として最低限のこと。それができない人が成功することはないといっても過言ではありません。自ら意識をして体調を整えることは、仕事をしていくうえでもっとも大切なことだという認識を持つべきです。そう考えれば、寝ることも仕事のうちだということが分かってくるかと思います」。

●「僕はある時期においてば、猛烈に仕事に没頭する時期があってもいいと思います。寝ても覚めてもずっと仕事が頭から離れないほど没頭できるというのは、実はチャンスなのです」。

●「(休日は)携帯を置いて、手帳を持って外に出かけよう」。

●「『少し危険だけど面白い手』を打ってみる」、「例えば、いつも同じ顧客ばかり相手にしていても、リスクを負うことがない代わりに、そこから他の新しい顧客も見えてきません。逆にリスクを取って、これまで自分たちが目をつけていなかった顧客を獲得しに行ったとしたらどうでしょう。新しい顧客ニーズに気づくこともあれば、自分たちがどれだけ狭い世界でがんじがらめになっていたのかと気づくこともあるはずです。ルート営業や単純作業の多い仕事をしている人でさえ、ちょっとした『リスク』で仕事は楽しくなるはずです」。

●「転職をするなら地方(の会社)に行け」。