榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

自分の人生は、志で変えることができる・・・【あなたの人生が最高に輝く時(87)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年11月29日号】 あなたの人生が最高に輝く時(87)

第二の人生は志を生きる――サラリーマンから市民への転身』(一新塾・森嶋伸夫著、一藝社)で、とりわけ興味深いのは、「企業戦士から千葉のトップリーダーへ=熊谷俊人」、「非大卒フリーターの逆転キャリアプロジェクト=飯田久美子」、「自己と社会を同時変革する6つの箱」の3つである。

●企業戦士から千葉のトップリーダーへ――
千葉県知事として県政改革に着手している熊谷俊人が、大企業の社員から29歳で千葉市議会議員に転身し、31歳で千葉市長に就任、33歳で千葉県知事に就任するまでの、挑戦続きの過程を知ることができた。選挙に必須と言われる「地盤(後援会)、看板(知名度)、鞄(選挙資金)」を持たない青年が、「政治を通じて世の中を変えたい」という志だけで生き抜いてきたことに爽快感を覚えるのは、私だけではないだろう。

私事に亘るが、私はタレント出身の前知事にほとほと呆れ果てた千葉県民なので、熊谷新知事に期待するところ大である。そして、同時に柏市民でもあるので、このほど誕生した改革派の新市長・太田和美の活躍も大いに楽しみにしているところだ。

●非大卒フリーターの逆転キャリアプロジェクト――
高卒フリーターから出発した飯田久美子が、28歳で人材紹介会社を起業し、若年層フリーターのための「逆転キャリアプロジェクト」を立ち上げるまでの体験は、「敷かれたレールの人生」から「自らレールを敷く人生」への転換を図ろうとする人たちに勇気を与えてくれることだろう。

学歴社会という面は残念ながら確かにあるが、長く企業人生活を続けた私の経験から言うと、学歴などというものは、10代後半に暗記力を始めとする受験技術に習熟していた、親が、その経済力によって子供が勉強に集中できる環境を提供できた――結果に過ぎないのだ。これまで多くの逆転劇を間近で目撃してきたことから、本人の覚悟次第で逆転は十分可能と確信している。

●自己と社会を同時変革する6つの箱――
「『志を生きる方程式』の中でも、その心臓部分が『6つの箱』です。『社会の現実』に『自分の人生』を投げ入れて、現場主義を生きる方法論です。自分と社会を同時変革する実践型のツールです」。

「6つの箱」とは、①社会ビジョン、②社会の現状、③根本原因、④これまでの人生、⑤新しい人生、⑥解決策――の箱(フレームワーク)を指している。なお、「解決策」は、▶「社会ビジョン」に向かうこと、▶「根本原因」を解決するものであること、▶「新しい人生」の志に根差していること――が要求されている。