榎木孝明は、なぜ30日間の不食に挑戦したのか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(347)】
今年は、例年よりソメイヨシノを長く楽しめますね。赤いレッドロビンの新葉とのコントラストが目を引きます。高校の塀沿いに、背の高いソメイヨシノが整列しています。ソメイヨシノの花の中のツグミをカメラに収めることができました。花筏ならぬ、ソメイヨシノの花絨毯も風情があります。
閑話休題、『30日間、食べることやめてみました――「不食」という名の旅』(榎木孝明著、マキノ出版)を読むことによって、榎木孝明がなぜ不食に挑戦したのかを理解することができました。
「私たちは、生きていくために毎日食べなければならない。食べることをやめれば、どんどんやせ細って、やがて死んでしまう。それが、いわゆる常識というものです。しかし、食べなければ私たちは本当に死んでしまうのか。それは、私たちの固定観念にすぎないのではないか。文字どおり食べることをやめたとき、人の心と体に何が起こるのか。それを知ろうというのが、私のこのたびの試みです」。
この挑戦には、若い時のヒマラヤ旅行中、食事になかなかありつけない日々が続いても、体力が落ちることなく、健康を維持できたという体験が影響を与えているそうです。
何ら不都合なことは起こらず、無事に終了した30日間の不食日記が収録されており、「不食は意識の覚醒を促す。食べずにいると頭がクリアになる。それは、多くの不食の経験者である先人たちが教えるところでした。私も、自身の不食の経験から、それを実感するようになりました」と述べています。
経験を踏まえた著者の主張は説得力があります。常識を疑い、自らの体で実験して確かめようとする姿勢、飽食から距離を置く生き方、極力無駄を省き、物事の本質に迫ろうという精神――を大切にしている著者を一層好きになりました。
私も不食を実行してみたいと言ったところ、即座に女房から止められてしまいました。