循環器専門医による有名作曲家40人の死因調査報告書・・・【情熱的読書人間のないしょ話(385)】
【amazon 『死因を辿る』 カスタマーレビュー 2016年5月17日】
情熱的読書人間のないしょ話(385)
早朝、洗濯物を干していた女房が下りてくるや否や、「コジュケイがチョットコイと呼んでいるわよ」。千葉・柏市の柏の葉公園では、総苞が白いヤマボウシと薄桃色のヤマボウシが満開です。バラ園では、80品種のバラが咲き競い、芳香を漂わせています。このうちから勝手にトップ・テンを選んでみました。因みに、本日の歩数は12,235でした。
閑話休題、『死因を辿る――大作曲家たちの精神病理のカルテ』(五島雄一郎著、講談社+α文庫。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)では、循環器専門医が有名作曲家40人の死因を丹念に辿っています。
「モーツァルトの死因には種々の説があるが、今日的な判断からすると、リウマチ熱から心臓弁膜症(大動脈弁口狭窄)がおこり、度重なる瀉血によって貧血をきたし、心不全を惹起して死亡したという解釈がもっとも妥当なものではないかと思われる」。
「(ベートーヴェンの)死因は肝硬変で、アルコールが肝硬変の進展に大きな関係があったものと考えられる」。さらに、ベートーヴェンは先天性梅毒で、聴力障害も梅毒が原因と考えられると記しています。
「(シューベルトの死因の)神経熱という病名は、梅毒性脳血管障害による疑いが強い」。
「(シューマンの)死因については、精神科医によって梅毒による進行性麻痺という診断が下された」。
「ワグナーの死因が、はっきり心筋梗塞であったことは症状からも明らか」。
「脳卒中の発作に見舞われているが、バッハが美食、大食の結果、糖尿病、高血圧の合併があったと考えても決して不思議ではない」。
これまでは無心にクラシック音楽を楽しんできた私ですが、今後は、病に苦しみながら作曲に励んだ作曲家に思いを馳せながら聴くことになりそうです。