都心から30分の森でオオタカが繁殖しているのは、先人たちのおかげ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(587)】
散策中に、薄紫色の線香花火のような花を咲かせたアオバナフジバカマを見つけました。あちこちでキクが咲き競っています。ノブドウの紫色や青色の実は光沢があります。ピーマンが実っています。ススキが風に揺れています。因みに、本日の歩数は10,494でした。
閑話休題、我が家から徒歩圏内の千葉・流山の市野谷(いちのや)の森にはオオタカが繁殖しており、私たちの野鳥観察、散策コースとなっています。都心からつくばエクスプレスで30分足らずの流山おおたかの森駅近くの森に、食物連鎖の頂点に立つオオタカが棲息しているということは、この地域の生態系の多様性が保たれていることを示しています。
この環境を維持するために、数々の困難を乗り越え、地道な努力を積み重ねてきた先人たちがいたことを、『オオタカの森をまもる――持続可能な循環型のまちづくり』(恵良好敏著、サンジョルディ。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)で知りました。
オオタカが棲む50haの森がつくばエクスプレスの開発によって消滅するという危機的状況を前にして、著者たちが立ち上がったのです。彼らは行政にさまざまな提案・申請を繰り返すことによって、広さが約半分に減るものの、何とか森を残すことに成功したのです。行政に働きかけるだけでなく、密猟者監視などを行う必要にも迫られました。
「(1993<平成5>年)3月24日に恵良(著者)は杉の木の15m位の高さに、木の枝で作られた巣にうずくまるオオタカのメスを発見しました。近づくとキーキーと近くの木からオスが飛び立ち、近づくなと威嚇してきます。オスは産卵間近いメスをかばって見張りをしていたようです」。
「平成5年にオオタカのヒナが巣立ち目前で密猟され、千葉県自然保護課、流山警察署と協議して平成6年には密猟防止体制を強化」。
著者らが中心となって、平成11年7月には、オオタカと生態系保全を目的とする「利根運河の生態系を守る会」が、また、平成14年4月には、市野谷の森を初めとする里山の保全と生物多様性の維持再生を目的とする「NPOさとやま」が設立されました。一会員に過ぎませんが、私もこの2つの会に参加し、野鳥・昆虫・植物観察などを行っています。