知れば知るほど、クモの世界は面白い・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1698)】
芳香を放つソシンロウバイが咲き始めました。鉄道に造詣の深い岡田徹也さんから、蒸気機関車のC、D、Eという記号は、それぞれ動輪が3対(主に旅客用)、4対(主に貨物用)、5対(勾配区間用)を表していると教わりました。ジョロウグモの雌を見かけました。背面と腹面とでは、こんなに模様と色が違います。因みに、本日の歩数は10,126でした。
『クモの奇妙な世界――その姿・行動・能力のすべて』(馬場友希著、家の光協会)によって、クモの世界は知れば知るほど面白いことに気づかされました。
かわいいハエトリグモが登場します。「オフィスや家でぴょんぴょん跳ぶクモの姿が見られることはないでしょうか? それはハエトリグモの仲間です。家の中ではアダンソンハエトリ、ミスジハエトリ、チャスジハエトリなどの3種がよく見られる代表的な種です。このハエトリグモの仲間は他のクモと違って網を張らない徘徊性のクモです。このクモの特徴かつチャームポイントは、発達した大きな眼です。とても視力がよく、目視で餌となる虫を発見し、追跡して食べる習性を持っています。目がよいため、人がハエトリグモを見つめると、見つめ返してくることもありますし、またパソコン画面のカーソルを、獲物と勘違いして追跡する姿なども見られます」。我が家に現れたアダンソンハエトリ、ミスジハエトリはカメラに収めることができたので、残るチャスジハエトリの出現を待っているところです。
クモのメスは体を大きくしたい、オスは小さくしたいと思っているというのです。「クモではオスがメスに比べて小さいというパターンがよく見られます。極端なペアでは、メスの体重はオスの体重の数十倍から百倍以上にも達します」。
メスは、体が大きければ大きいほど、多くの卵を産むことができるので、子孫を残す上で有利なのです。網を張る造網性クモでは、オスがメスに交尾をする際に、メスがオスを襲って食べることが知られています。そこで、オスは積極的に体を小さくすることで、俊敏に動き、メスから食べられる危険性を減らそうとしていると考えられています。
交尾を巡るオスとメスの攻防には驚かされます。「『夫婦』といえば、仲睦まじいイメージがあります。しかし、進化生態学の観点からはオスとメスとでは思惑が異なっており、自分の子孫を多く残すうえで利害が一致しておらず、両者に確執や対立がしばしば生じます。たとえば、生き物では一夫一妻ではなく、オス・メスそれぞれが多くのパートナーと番うことがあります。オスは多くのパートナーを持つことでたくさんの子どもを残すことができますが、一方、メスは生涯に残せる子どもの数はパートナーの数では決まらず、むしろ自身の体のコンディションで決まっています。ここに大きな溝が生じます。この交尾回数をめぐる利害の不一致は専門用語で『性的対立』と呼ばれています」。
タナグモ科、ヒメグモ科、ササグモ科、コガネグモ科のオスは、交尾後にメスの生殖器を塞いでしまいます。コガネグモ科のコガネグモダマシ属、ゴミグモ属のオスは、交尾後にメスの交尾器を破壊するという過激な行動に及びます。そして、ユウレイグモの仲間のイエユウレイグモという種のオスは、先に交尾したオスの精子をメスの受精嚢から掻き出すことが知られています。
「メスはある程度のオスと交尾すれば(子孫を残すうえで)十分です。むしろ過剰な交尾回数は時間の無駄ですし、天敵に狙われるリスクも高まります。そのため、オスは積極的に交尾を求めますが、メスは交尾を嫌がる傾向があります」。アシナガグモという種のメスは、長く強靭な上顎を用いてオスを殺すことによって、余分なオスとの交尾を回避しているのです。
クモの「網」と「巣」の違いが説明されています。「クモが作る構造物には『網』と『巣(住居)』の2つがあることを解説しておきます。『網』とは住居と餌の捕獲機能を備えたものです。一方、『巣』は単にクモの棲み場所としての機能を持つものです。巣は糸で綴られた袋状のもの、植物を折り曲げて糸で綴ったものであることが多いです。多くの徘徊性のクモは、網は張らないものの、休息用・越冬用あるいは産卵用の巣は作ります」。