榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

映画『カサブランカ』の台詞を、より深く理解するための一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1726)】

【amazon 『カサブランカ CASABLANCA』 カスタマーレビュー 2020年1月6日】 情熱的読書人間のないしょ話(1726)

夜が明けたので、庭の餌台に餌を置きにいったところ、足元からバタバタと何かが飛び立ちました。電線に止まったシルエットから2羽のキジバトと判明しました。我が家には、ヒヨドリ、ハクセキレイ、シジュウカラ、メジロもやって来ます。シジュウカラの雄は、ネクタイ状の黒い縦線の幅が広く、雌は細いので、見分けることができます。因みに、本日の歩数は10,653でした。

閑話休題、若い人たちから「見るべき恋愛映画は?」と聞かれたときは、ロミー・シュナイダー主演の『離愁』(DVD『離愁』<ピエール・グラニエ・ドフェール監督、デックスエンタテインメント>)と、ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン主演の『カサブランカ』(DVD『カサブランカ』<マイケル・カーティス監督、ファーストトレーディング>)と答えることにしています。

「映画で覚える英会話 アルク・シネマ・シナリオシリーズ」の一冊『カサブランカ CASABLANCA』(アルク英語企画開発部編、アルク)は、映画『カサブランカ』の全ての台詞が英語と日本語で示され、楽しみながら英語力が向上するようにさまざまな工夫が凝らされています。因みに、この映画で使われている英単語は、中学で学習する1,518語で84%がカヴァーされているそうです。

いくつかの名場面を見ていきましょう。

ボガート演じるリックが、自身が経営する仏領モロッコのカサブランカの酒場で女性客をつれなく扱うシーン。

YVONNE= Where were you last night?(昨夜はどこにいたの?)
RICK= That’s so long ago, I don’t remember.(そんな昔のこと、覚えてないね。)
YVONNE= Will I see you tonight?(今夜会えるかしら?)
RICK= I never make plans that far ahead.(そんな先の予定は立てないんでね。)

深夜、リックが酒場でバーグマン演じるイルザを待ちながら、パリでイルザと楽しく過ごした日々と別れの日を回想するシーン。

RICK= Here’s looking at you, kid.(君の瞳に乾杯。)

夜の飛行場で、リックと残るつもりのイルザに、ナチスに追われている夫のラズロと共に行くようにと、リックが心を込めて説得するシーン。

ILSA= You’re saying this only to make me go.(あなたは私を行かせるために、そういっているだけだわ。)
RICK= I’m saying it because it’s true. Inside of us we both know you belong with Victor. You’re part of his work, the thing that keeps him going. If that plane leaves the ground and you’re not with hjm, you’ll regret it.(それが本当だからいっているんだ。俺たちふたりとも心の中では、君がビクターといるべきだってことはわかっているさ。君は彼の活動に必要な存在であり、彼を邁進させる存在なんだ。あの飛行機が離陸して、君が彼と一緒じゃなかったら、君は後悔するだろう。)
ILSA= No.(しないわ。)
RICK= Maybe not today, maybe tomorrow, but soon, and for the rest of your life.(たぶん今日はしないだろう、明日もしないかもしれない。でもすぐに後悔する。これから一生後悔することになる。)
ILSA= What about us?(私たちはどうなるの?)
RICK= We’ll always have Paris, We didn’t have;we’d, we’d lost it, until you came to Casablanca. We got it back last night.(俺たちにはいつだってパリの思い出がある。でもこれまではそれがなかった。君がカサブランカに来るまで、俺たちはそれをなくしていた。昨夜、それを取り戻したんだ。)

RICK= Now, now. Here’s looking at you, kid.(さあ、さあ。君の瞳に乾杯。)

『カサブランカ』は「これぞメロドラマの極致」という感じのモノクロ映画だが、何度見ても、ボガートの恰好よさとバーグマンの気品ある美しさに陶然としてしまいます。若い映画ファンにも、ぜひ見てもらいたい作品です。