榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

平凡だが幸せな47歳の手芸店主の女性が、宝くじで22億円を当ててしまったら・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1802)】

【amazon 『私の欲しいものリスト』 カスタマーレビュー 2020年3月21日】 情熱的読書人間のないしょ話(1802)

シャガ、ヒマラヤユキノシタ、ヒヤシンス、クロッカス・フラヴァス‘ラージ・イエロー’、ムスカリ、ツルニチニチソウ、ヒイラギナンテン、オウバイモドキ(ウンナンオウバイ)をカメラに収めました。我が家の庭師(女房)自慢のモクレン(シモクレン)が、漸く咲き始めました。奥手だが、色が綺麗だと言うのです。因みに、本日の歩数は10,151でした。

閑話休題、『私の欲しいものリスト』(グレゴワール・ドラクール著、中島さおり訳、早川書房)は、フランスの現代小説です。

フランスの地方都市で手芸店を営むジョスリーヌ、47歳は、2人の子供が巣立ったため、愛する夫と、平凡ながら幸せな日々を送っています。

「私は47歳で、私には浮気をしない質朴で善良な夫と、大きくなった2人の子どもと、ときどき恋しくなる、天に召された小さな子どもがある。私には店があって、良い時と悪い時と平均すれば、ジョー(夫)の給料に足せる収入になるから、わりと良い暮らしができる。ヴィルヌーヴ・ルーベでの快適なバカンスもできるし、いつか車を持つという彼の夢を実現することもできるかもしれない(3万6千ユーロで買える、とても良さそうな中古車を見た)。私の書くブログは『アラス・オプセルヴァトゥール』の記者の母親を喜ばせ、おそらく他にも1199人のご婦人たちを毎日、喜ばせているのだろう。好評な数字を見て、プロバイダーは最近、私に広告スポットを売らないかと言ってきた。ジョーは私を幸せにしてくれるし、私は一度も他の男が欲しいと思ったことはない」。

ところが、ある日、思いがけないことが起こります。お喋り仲間の女友達たちに誘われて、初めて買った宝くじが当たってしまったのです。それも1854万7301ユーロ28サンチーム(約22億円)という大金です。

ジョスリーヌは、宝くじが当たったことを夫には告げずに、「私の必要な物のリスト」、「私の望むものリスト」、「私の狂気のリスト」を書き出すが、小切手を古い靴の中敷きの下に隠し、換金しようとしません。

ところが、またまた。思いがけないことが起こります。隠しておいた小切手を見つけた夫が、何も言わずに、小切手とともに姿を消してしまったのです。

ジョスリーヌが換金しようとしなかったのは、なぜか。

その後、ジョスリーヌはどうなったのか。そして、夫はどうなったのか。

愛とは何か、幸福とは何か――を考えさせられる、奥行きのある作品です。