本書のおかげで、読みたい本が3冊見つかりました・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2196)】
ライラック(リラ。写真1、2)、フジ(写真3、4)が芳香を放っています。ハンカチノキ(写真5~8)が咲いています。ユリノキ(写真9)が咲き始めました。因みに、本日の歩数は13,348でした。
閑話休題、『人間通になる読書術・実践編』(谷沢永一著、PHP新書)のおかげで、読みたい本が3冊見つかりました。
1冊目は、『モーパッサン短編集(2)』(ギィ・ド・モーパッサン著、青柳瑞穂訳、新潮文庫)に収められている『首かざり』です。「今までに書かれたあらゆる小説のなかで最も残酷な物語が『首かざり』である。・・・この夫婦の人生こそ思えば惨めの極みではないか。・・・人間性の枢要な根幹を鋭く衝いて、人間が生きてゆくために最も必要な要素は何かという問いに、最も鮮やかな逆説を以て電光一閃のように答えたのがこの名作である」。練達の読書家・書評家の谷沢永一にここまで言われて、読まずに済ますことができるでしょうか。
2冊目は、『書物』(森銑三・柴田宵曲著、岩波文庫)です。「森銑三のいうように、読書人にとってなにが至福かといって、時たまたま素晴らしい一冊に出会うこと、そこからすすんで当の著者の全著作を読みたくなり、さらにその著者が推奨する本までも読破せずにいられない経験をする以上のことはないのではなかろうか。魂を奪われるような書物と著者との邂逅である。読者は己の魂を奪われることで新しい己の心を獲得する」。
3冊目は、『現代読書法』(田中菊雄著、講談社学術文庫)です。「読書論をテーマにした本でお勧めできるのは田中菊雄の『現代読書法』、それから『馬車が買いたい!』にはじまる鹿島茂の著作です」。鹿島茂の本はいろいろ読んでいるので、このたびは『現代読書法』に狙いを定めた次第です。
書評についての谷沢の見解に、大きく頷いてしまいました。「ある時期まで、本の要点を掻い摘まんで紹介するのが書評の役割でした。いってみれば本のダイジェストを伝えてくれるものだったわけです。ところが、かなり前から書評が単なる本の紹介でなく、評者の見識を披露する場に変化し始めました。そして、今日ではその本がどんな内容であるかということよりも、評者がその本を素材にして読者を唸らせる場に変わっています。本を選ぶ参考となるダイジェストから評者のお説拝聴の文章になってしまったのです。それがまったく無意味だとは申しませんが、本を選ぶ際に参考にするには相応しくない書評があふれていることもまた事実です。そういう意味では、書評が邪道に流れているといっていいでしょう」。