著者の読書に対する熱い思いが、ひしひしと伝わってきます・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2211)】
【読書クラブ 本好きですか? 2021年5月3日号】
情熱的読書人間のないしょ話(2211)
飛翔するダイサギ(写真1~3)をカメラに収めました。モズの雄(写真4、5)が囀っています。キンギョソウ(写真6~9)が咲いています。
閑話休題、敬愛する練達の読書家・書評家である谷沢永一が『人間通になる読書術・実践編』(谷沢永一著、PHP新書)で、絶賛している『現代読書法』(田中菊雄著、講談社学術文庫)を手にしました。
紀田順一郎が解説で、こう評しています。「本書は一世の読書人、独学のチャンピオンが綴った体験的読書論なのである。戦前の著書であるから古くなった箇所もないではないが、それをこえて私たちのこころに直截に訴えてくるのは、読書を中心とする知的生活への情熱である。『読書人の魂』そのものである」。
とりわけ、私の心に響いたのは、この3つです。
「真に読書の効果を挙げようと思えば、どうしても必然的に簡易生活にならざるを得ない。『身は卑(ひく)く、心は貴(たか)く侍すること』(低く処し高く思う)は、読書人の金誡であらねばならぬ」。
「読書ばかりが決して学問ではない。真の学問は日々の仕事の中にある。人生の営みの中にこそ真の学問がある。あくまで人生が主である。読書はその人生をいかによく、いかに有意義に生くべきかを学ぶための手段に過ぎない。昼は業務に精励し、夜は読書研鑚、農民として耕し、哲人として思索するという心掛けこそあらゆる現代人にとって金誡であらねばならぬと思う」。
「読書と観察と思索と実行の四つは相扶けて私どもを智恵の彼岸に到らしむる車の四輪である。真の知識、真に物を見る眼、炯眼、しかり、造化の真意を看抜く創造的炯眼を得るための四つの要素なのである。正しく見ること、真に知ること、その中にこそ人間一切の道徳が存するのである」。
著者の読書に対する熱い思いが、ひしひしと伝わってきます。