榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

本書を読むと、頭の中で、世界の潮流を交通整理できる・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2271)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年7月1日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2271)

トクサ(写真1)、白いコイ(写真2)、ツタ(写真3、4)をカメラに収めました。七夕が近づいてきましたね。

閑話休題、『大前研一 世界の潮流2021~22』(大前研一著、プレジデント社)を読むと、頭の中で、世の中の動きを交通整理することができます。

第1は、新型コロナウイルス禍で、人々の生活様式が根本的に変わってしまったこと。「たとえば、働き方である。どこの会社でも、オフィスから離れた場所で仕事を行うテレワークが常態化し、『通勤から解放されたビジネスパーソンが都心を離れて、地方に移住しはじめる』という現象が起こっている。その一方で『会社帰りに同僚と居酒屋で一杯』といったライフスタイルが消滅し、顧客を失った飲食店は苦境にさらされ、撤退を余儀なくされた店も少なくない。このほかにもロックダウン(都市封鎖)や政府の自粛要請などで、さまざまな業界が被害を被っている」。

第2は、トランプ前アメリカ大統領がまき散らした毒液の後遺症が懸念されること。「世界は彼の『アメリカ・ファースト』に振り回され、米中両国の対立は激しさを増し、中東は構図が変わってしまった。さらに、他の国にも『ミニ・トランプ』が続々と出現し、気がつけば、民主主義の未来は風前の灯となっている。アメリカ国内もトランプ氏が富裕層を優遇し、白人至上主義を煽った結果、二極化と分断がかつてないほど進んでしまった。・・・彼がまき散らした『トランプ・ベノム(毒液)』の後遺症は、これから世界のいたるところで噴出するだろう」。

第3は、中国の習近平国家主席が急激に「ヒトラー化」していること。「『国家安全維持法』制定など香港に対する強硬姿勢をみると、いよいよ香港・台湾有事が現実のものとなる日も近いと思わざるを得ない。中国が、弱体化するアメリカに取って代わって、世界の覇権を握ろうと考えているのは明らかだが、あまりに高圧的な外交姿勢と国内の強権的統治を、果たして国際社会がこの先も許すだろうか」。

第4は、産業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)革命が起こっていること。「これは単にIT化やデジタル化を取り入れるといった単純なことではない。その本質は『デジタルテクノロジーを用いて、21世紀型企業に変革を図る』というところにある」。

「安倍前政権の総合評価はマイナス300点」、「小手先感満載の菅新政権の政策」、「日本のDXの二重の遅れと対策の方向性」にも言及されています。