ベートーヴェンが、こんなに恋多き男だったとは・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2316)】
ヒトの老年が、ヒガシニホントカゲの幼体(写真1、2)に出会いました。ハグロトンボの雄(写真3、4)、雌(写真5~7)をカメラに収めました。
閑話休題、『人間ベートーヴェン――恋愛と病にみる不屈の精神』(石川栄作著、平凡社新書)は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの恋愛と難聴にスポットライトを当てています。
「ベートーヴェンは私たちに勇気と希望を与えてくれる点でも、やはり偉大な音楽家である。確かにその音楽も文句なしにすばらしいが、しかし、度重なる苦難にも屈することなく、その不屈の精神でもってそれらを克服していって、さまざまな名曲を作り出していった『人間ベートーヴェン』の生きざまにも、称賛すべきものがあるとは言えないだろうか」。
本書を読んで驚いたのは、ベートーヴェンが並外れて恋多き男だったことです。「1799年から1812年までのベートーヴェンは、さまざまな女性と出会い、また次から次へと恋をして、結婚にあこがれて求婚までしていることを考慮すると、異常なほど愛多き男性だったと言わざるをえない。感受性の強い男性であったことは確かであるが、その愛はかりそめの軽々しいものではなく、ベートーヴェンにとっては常に真剣なものであった」。
「不滅の恋人」への手紙が誰に宛てられたものかが、実証的に探究されています。「『不滅の恋人』とは(大実業家の妻)アントーニア・ブレンターノ(1780~1869年)であったとする説が、現在では通説となっている」。「(ベートーヴェンの日記の記述が)夢に描いていたアントーニアとの結婚生活の計画が破綻したことを表していることは、確かであり、ベートーヴェンの恋はまたもやいつものように実らなかった。(離婚危機に直面していた)ブレンターノ夫妻は元の鞘に収まることになったと推定される」。
ベートーヴェンがヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテと出会っていたことも意外でした。「初めて出会った日に、ゲーテは妻クリスティアーネにあてた手紙の中で、『私はこれまで、これほど強い集中力を持ち、これほどエネルギッシュで、しかも内面的な芸術家を見たことがない』と書いている。・・・のちにベートーヴェンは『そのとき、そのすべてが、どんなに私を幸せにしてくれたことか! あの人のためなら、私は十度でも死ぬことができたでしょう。・・・あのカールスバートの夏以来、私はいつもゲーテを読んでいます』と語っている」。