クリスマスをおじいちゃんの家で過ごすことになったミリーとユニコーンの物語・・・【山椒読書論(629)】
【読書クラブ 本好きですか? 2021年12月13日号】
山椒読書論(629)
絵本『クリスマスにきたユニコーン』(アンナ・カーリー作、まつかわまゆみ訳、評論社)は、クリスマスをおじいちゃんの家で過ごすことになったミリーとユニコーンの物語です。
「森の木かげから、フクロウとキツネとユニコーンが、目をみはっていました。いつもしずかにまたたいている小さな町の明かりが、今夜は、ピンクやむらさき、赤、黄、青と、色とりどり。ちかちか、きらきら、明かりはおどり、かがやいています。『なんで、あんなにぴかぴかしてるの?』と、ユニコーンがききました。『クリスマスだからさ』。なんでも知っているキツネがこたえます」。
「ギーッ! 門は、音をたてました。ミリーは、まどをあけて・・・長いこと、ユニコーンを見つめていました。『こんにちは』と、ミリー。『こんにちは』と、ユニコーン。そして、また、たがいに見つめあいました」。
「あたし、おじいちゃん家(ち)にきてるの」。ミリーは、絹のようなフローリアン(=ユニコーンの名前)のたてがみをなでながら、『でも、いっしょにあそべる友だちがほしいのよ。それに、パパがいたらなあ。ママは、できるだけ早くきてくれるって言うけど』。
「と、そこに、見たこともないような大きなクリスマス・ツリーが立っていました。色とりどりの明かりをきらめかせながら。そして、ツリーの前には、おいしいかいばをほおばったフローリアンがいました! 『フローリアン! いなくなっちゃったかと思った!』。ミリーはさけんで、フローリアンの首を、しっかり、だきしめました」。
クリスマスにふさわしいファンタスティックな作品です。