榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

「老い」が人類を発展させた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2680)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年8月18日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2680)

アオモンイトトンボの雄型雌の産卵(写真1~3)を目撃しました。アオイトトンボの雄(写真4)、セミヤドリガの幼虫が寄生しているヒグラシの雄(写真5)、アブラゼミの雌(写真6)、アオバハゴロモ(写真7~9)、カルガモ(写真10)をカメラに収めました。クサギ(写真11、12)が咲いています。因みに、本日の歩数は11,541でした。

閑話休題、『生き物が老いるということ――死と長寿の進化論』(稲垣栄洋著、中公新書ラクレ)で興味深いのは、「『老い』が人類を発展させた」の章です。

「私たちは『老いて死ぬ』ことは当たり前だと思っているが、じつは、老いることのできる生物は少ない。・・・私たち人間は老いる。老いて死ぬことは、特別なことなのだ。・・・火を手に入れ、道具を扱うように、人間は『老いる』ことを獲得したのだ。・・・じつは、『老いる』ということには、生物の進化が関係している」。

「知能を正しく使うには、知識と経験が必要である。そして、その知識と経験を誰よりも持っているのが、私たち哺乳類の年長者なのである。・・・経験とは『成功』と『失敗』を繰り返すことである。・・・子どもを保護しながら、子どもにたくさんの経験と知識を与えなければならないのだ。それが『知能』を選択した哺乳類の戦略である。こうして、哺乳類は、『子育て』という、少しだけ長い寿命を手に入れたのである。・・・人類は群れを作り、厳しい自然の中で生き残ってきた。そして、そこには、年寄りの『経験と知恵』が重要だったのである。おそらく、おじいちゃんやおばあちゃんを大切にする集団は生き残り、おじいちゃんやおばあちゃんを活用しない集団は滅んでいった。しかし、体力的に劣るおじいちゃんやおばあちゃんを集団の中に置いておくためには、その集団におじいちゃんやおばあちゃんを保護できるだけの力がなければならない。おじいちゃんやおばあちゃんを大切にする集団は、経験や知恵で集団を発展させ、力をつけた。そして、その力で年寄りを保護したのである。こうして、年寄りを活用する集団は、ますます力をつけていったことだろう」。

「そして人類の集団にとって、年を取っておじいちゃんやおばあちゃんになるということは、とても価値のあることとなった。その結果、人類は他の生物と比較して、とても長生きになったのだ。生物は、生存に適した特徴が発達する。年を取って長生きをするということは、人類にとって重要な進化だったのである」。

「人間は、長生きに進化した生き物なのだ」という著者の主張に励まされ、105歳目指して、前向きに生きていこうと思いました(笑)。