君は、SNSで気をつけるべき法律を知っているか・・・【MRのための読書論(203)】
SNSで気をつけるべき法律
スマホが普及し、SNSなしの生活なんて、もはや考えられないが、SNSで気をつけるべき法律があることを知らない人が意外に多い。『SNS別 最新 著作権入門――「これって違法!?」の心配が消えるITリテラシーを高める基礎知識』(井上拓著、誠文堂新光社)は、何がアウトで、何がセーフかを、イラストを活用しながら、分かり易く具体的に教えてくれる優れ物だ。
「気軽に投稿できる一方で、一度投稿すると完璧には消せないデジタルタトゥーになるという、楽しいけれど怖いSNS。うっかり誰かの権利を侵害してしまわないよう注意したいですね」。
アウトか、セーフか
●いつ、どんな権利が生まれるの?
➡著作権は創作した瞬間に2つ生まれる。「『著作財産権』と『著作者人格権』の2種類が同時に誕生します。著作権がスゴイのは、どこかに申請や登録をしなくても、作品を創作するだけで発生するところです」。
●著作財産権とは?
➡人に「使うな」と言える、人に許諾することができる権利。「許諾なく著作物の利用ができることもある(例:私的複製、引用、写り込み)」。
●私的複製と認められる条件とは?
➡権利侵害を知りながら自分都合の理由付けはNG。「自分や家族の間でのみ楽しむための『私的複製』は認められていますが、違法複製、アップロードされている場合はアウト。『私的複製』の範囲はしっかり確認を!」。
●引用と認められる条件とは?
➡メインディッシュは自分のものを、人のものは味付け程度に。「まず、引用部分と自分の著作物がはっきりと区別されていること(明瞭区別性)が求められます。次に、自分の著作物が『主』で他人の著作物が『従』になっているという関係(主従関係)が必要です。さらに、出典元をきちんと記載するなど『公正な慣行』に合致した方法で引用する必要があります。その上で、他人の作品を引く必要性が認められる範囲(正当な範囲)で『引用』が認められます」。
●写り込みは大丈夫か?
➡法改正で明確化された、侵害行為にあたらない「写り込み」。「写真や動画を撮影した際に、一緒に他人の著作物が写り込んでしまうことがありますが、正当な範囲であれば気にしなくてOK。写り込んだ著作物の利用許諾は不要です」。
●肖像権とパブリシティ権とは?
➡顔や容姿を守る権利。「有名無名にかかわらず、人は皆、顔や容姿を無断で公表されない権利、『肖像権』を持っています。顔を広く知られる有名人でなくても、その人が写った写真を公開する場合は、本人の同意が必要になります」。「著名人や芸能人の場合はパブリシティ権も発生します」。
●絵本の読み聞かせはしてもいいの?
➡読み聞かせは非営利・無料・無償ならOK。
●神社や仏閣、城などの歴史的建造物。「#旅記録」として写真や動画をアップしてもいいの?
➡OK。歴史的建造物はほとんど著作権の保護期間が切れているはず。そうでなくても、建築の著作物なので原則として自由に利用可。
●小説や漫画、ドラマや映画のレビューは、あらすじを書いてもOK? ネタバレは著作権侵害?
➡あらすじはOK。ネタバレも著作権法的にはOK。ただし、利用規約違反やマナー違反になる可能性はあるので、配慮を。
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