敬愛する哲学者・永井均と哲学研究仲間とのツイッターのやり取りが収録されている一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2823)】
野鳥観察会に参加し、43種を観察することができました。滅多に出会えないトモエガモの雄(写真1の地上の一番右、写真2の一番右)、マガモの雄と雌(写真3)、ハシビロガモの雌(写真4)、バン(写真5)、オオバン(写真6)、ゴイサギ(写真7)、ゴイサギの幼鳥(ホシゴイと呼ばれる。写真8~10)、カワラヒワ(写真11)をカメラに収めました。因みに、本日の歩数は15,955でした。
閑話休題、敬愛する哲学者・永井均と哲学研究仲間とのツイッターのやり取りが収録されている『哲学的洞察』(永井均著、青土社)を手にしました。
当然のことながら、専門的な内容が多いが、永井の本音が垣間見えるので、ファンとしては愉しめます。
●純哲学と大衆哲学
「純文学と大衆文学があるように、純哲学と大衆哲学がある。『精神現象学』や『存在と時間』が後者の典型だから難解さには関係ない。文学の場合と同様、大衆文学の方が人生に直接役立つ。最終的なところで人々の一般的通念におもねっているからだ。『おもねっている』という言い方が否定的にすぎるなら、『基礎を置いている』と言い換えてもよい。だからこそ役立つ。そこに疑問を持ち、楔を打ち込み始めると、普通の人の人生には無縁のものになっていくだろう。が、どんなジャンルでもそうだが、哲学も本当に素晴らしいものになるのはそこから先だ」。
●哲学とは何か
「『中心のほとんど見えないほど微細な核心的部分に<真の哲学>があり、その周辺に広大無辺の<ニセ哲学>というすそ野が広がっている』。『ニセ哲学とは、哲学の外形だけしていて、そのじつまったく哲学ではない代物・・・』というのは本当であるけど、ビールより発泡酒が好きな人がいても、別に・・・。それより、『精神現象学』や『存在と時間』は、その大部分が『ニセ哲学』ではないか?と聞いてみたい。あるいは、プラトンの『国家』だって・・・。ビールより発泡酒が好きな人がいても別にかまわないけど、発泡酒をビールだと思い込んでいる人がいると本当は違うんだよと言いたくはなる(発泡酒のほうが安くて口当たりもよく美味しくて栄養もあって体にも良かったとしても)。まったく余計なお世話なのに」。
●査読に通るような論文
「査読に通るような論文を書く能力も、まあ、あったほうがよいので、二、三本は査読論文を書いてみてもよいけれど、そういう世界からは早く足を洗わないとね。いつまでも出来合いの哲学動物園で飼育されていないで、外に出て世界そのものから自分で哲学を始めないと」。