見物人たちの前で愛し合うことを命じられた全裸の男女・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3118)】
キタテハ(写真1~4)、アカタテハ(写真5、6)、モンシロチョウ(写真7、8)をカメラに収めました。
閑話休題、短篇集『透明な迷宮』(平野啓一郎著、新潮文庫)に収められている『透明な迷宮』は、官能を激しく刺激する作品です。
ハンガリーのブダペストを出張で訪れた岡田(36歳)は、カフェで日本人女性ミサ(28歳)と知り合います。その後、ミサの女友達に誘われて、二人はパーティに参加します。
「到着したのが、この大きな館だった。パーティは既に始まっていた。正装した三十人ほどの人間が、立ったまま飲み食いしている。ただの仕事用のスーツを着ていた岡田は気後れしたが、スキンヘッドの頑健な体つきの館の主人は、人差し指を立てながら、服装は重要ではない、大事なのはこの場を楽しむことだと言った」。
「立食形式のパーティが催され、岡田とミサは一時間ほどを寛いで過ごした。その後、七階に案内されて、奥の部屋に足を踏み入れたところで、突然数人の男たちに押さえつけられ、衣服を奪われて、更に奥にある一室に監禁されてしまったのだった」。
「その天井の高い、黒一色の部屋で、彼らは全員、全裸で蹲っていた。男女六人ずつ計十二人がいて、日本人は岡田とミサだけだった。恐らくは意図的に、様々な肌の色の人間が取り揃えられていて、彼らの苦しげな肉体は、白金とクリスタルの塊が宙で爆発したかのような巨大なシャンデリアの光に照らされている。年齢は二十代から四十代くらいまでで、皆ハンガリー人ではなく、岡田たちと同様、欺されたり、拉致されたりして連れて来られた観光客だった」。
「監禁された者たちが、彼(館の主人)に命じられているのは、たった一つのことだった。――ここで、見物人たちの目の前で、愛し合え、と」。
已むを得ず強要された行為を行った岡田とミサに、その後、起こったことは・・・。私も、かなり以前に、出張でブダペストを訪れたことがあるが、これ以上は、口が裂けても言えません。