アンゲラ・メルケルの成功の秘密の核心とは・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3151)】
東京・杉並の西荻窪~荻窪~阿佐ヶ谷~高円寺を巡る散歩会に参加しました。天祖神社(写真1~3)、太田黒公園(写真4~7)、馬橋稲荷神社(写真8~14)、長仙寺(写真15~19)で黄葉、紅葉を堪能しました。因みに、本日の歩数は15,372でした。
閑話休題、『世界史を変えた女性指導者たち――マリー・アントワネットからメルケルまで(下)』(アンヌ・フュルダ編、神田順子・田辺希久子・河越宏一・村上尚子・松尾真奈美・清水珠代訳、原書房)で、とりわけ興味深いのは、「アンゲラ・メルケル(1954年~)――ドイツの女性首相」です。
「初の女性首相(在位2005~2021年)となったアンゲラ・メルケルは、4期にわたる在任中、激動のヨーロッパ一の経済大国となったドイツにおいて確かな足跡を残し、独自の権力行使の手法を確立した。策略家であり科学者であり骨の髄まで政治家であり、東側から西側へ移動したという特殊な経歴をもつメルケルは、20世紀から21世紀へとヨーロッパが舵を切った時代、とくに統一ドイツが平和で豊かで自由な国として容認された時代をまさに体現した。しかし、称賛の嵐のなか引退したものの、2022年2月末に始まるロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、メルケルのエネルギー政策と防衛政策の再検討がドイツの喫緊の課題となっている」。そこまで先見性を問題視するのは、メルケルに酷というものでしょう。
「『メルケルの秘密』の核心とは? 類まれな知力、記録的な支持率、つきせぬ活力、策略家としての才能、そして・・・他の特徴とはつりあわないあの抑揚のない声だ。・・・アンゲラ・メルケルは素っ気ない声で話しながら、なにものもゆるがせにしないからである。そして今後の方向性を正確につかんでいる」。
「専門家たちは、次のように述べている。『兵役義務の廃止から家族政策の修正にいたるまで、脱原発から難民受け入れ政索にいたるまで、同性婚承認からEU共同債の創設に至るまで、アンゲラ・メルケルはドイツの変革をなしとげた』」。
「柔軟な難題処理能力を示し、たぐいまれな人気のもうひとつの秘訣であるプラグマティズムを発揮した。・・・これもまたメルケルのもうひとつの十八番、敵のお株を奪うということだったのだ」。
「堅実で気概があり、―― 一部の人々に言わせると頑固な――メルケルは不平不満をもらさない」。
「どこにいても存在感を示し、感情をあらわにしない勉強家のメルケルにはスタイルがあり、それは・・・きわめて個性的だ。・・・金銭や贅沢には興味がない。こけおどしは彼女の行動原理にはない。考察し、働き、解決策を見出すというのが仕事の手順だ」。
「他の国家元首とことなり、メルケルはみずからの誤りを認めてときおり皆を驚かせる」。
「正確な数字と客観的な結果を求める科学者メルケルは、きわめて人間的なつつましさがあり、とりたてていわれることは少ないものの共感力がある。口さがない人たちは華がないというが、それはまちがっている」。
「『前進しよう!』というのがメルケルのモットーといえるかもしれない」。
「まさに歴史の記述に残るほどの力量をもつ人々がいる。メルケルはその一人だ」。著者のこの評価に全面的に賛成です。メルケルのような人物を同時代に持てて、よかった!