本書を読んで、「親ガチャ」についての私の考え方は間違っていたことに気づきました・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3252)】
【読書の森 2024年3月11日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3252)
ムクドリ(写真1)をカメラに収めました。ギンヨウアカシア(ミモザ。写真2、3)、ハナニラ(写真4)が咲いています。
閑話休題、裕福な家庭に生まれたかった、魅力的な容姿に生まれたかったといった「親ガチャ」という言葉を耳にしたとき、親の貧困が子の貧困を誘引し易いことを思い、心を痛めました。ところが、「親ガチャ」についての私の考え方は間違っていたのです。
今回、手にした『親ガチャの哲学』(戸谷洋志著、新潮新書)がその間違いを正してくれました。
著者は、自分の人生が生まれたときの状況によって決定されており、後からその運命を変えることはできない、という人生観を「親ガチャ的厭世観」と名づけています。
親ガチャ的厭世観を乗り越えるには、マルティン・ハイデガーが説くように、自分の人生を自分の人生として引き受ける必要があると述べています。
しかし、これだけでは十分でないと言うのです。ハイデガーの弟子であり愛人でもあったハンナ・アーレントが説くように、他者との連帯が必要だというのです。
父からは勤勉と読書の習慣を、母からは明るい人生観と社交性を受け継いだ私は、「親ガチャ」で悩んでいる若者たちのことを真剣に考えてこなかったと反省しています。