「大草原の小さな家」のローラ、最大の危機・・・【山椒読書論(15)】
ローラ・インガルス・ワイルダーの『大草原の小さな家』シリーズは、どれも面白いが、第6作の『長い冬』(ローラ・インガルス・ワイルダー著、谷口由美子訳、岩波少年文庫)は、特に感動的である。
シリーズ9作の大まかな流れは、このようになっている。
●第1作『大きな森の小さな家』:今から150年前のアメリカの西部開拓時代、ウィスコンシン州のビッグ・ウッズ(大きな森)の小さな丸太小屋に住むインガルス一家(父、母、姉、ローラ<5歳>、妹)は大自然の中で農地開拓に励む。
●第2作『大草原の小さな家』:新しい土地を目指し、カンザス州のインディアン居住地へ幌馬車で移動する。
●第3作『プラム・クリークの土手で』:移り住んだミネソタ州で苦労する。
●第4作『シルバー・レイクの岸辺で』:ローラが12歳の時、遂にサウスダコタ州のシルバー・レイクのほとりに落ち着き、払い下げ農地を得て、広々とした大草原に我が家を建てる。
●第5作『農場の少年』:後にローラの夫になるアルマンゾ・ワイルダーの少年時代が描かれる。
●第7作『大草原の小さな町』:成長したローラは、アルマンゾと知り合う。
●第8作『この楽しき日々』:ローラは、家から遠く離れた開拓地の小さな学校の教師になる。そして、18歳でアルマンゾと結婚。
●第9作『はじめの四年間』:ローラとアルマンゾが結婚してからの4年間が描かれる。
第6作『長い冬』:猛吹雪が西部一帯を襲い、8カ月間も続いた長い冬のため、ローラ(13~14歳)ら開拓者たちは大草原の真っ只中で孤立してしまう。インガルス一家(妹が一人増えている)は、皆で力を合わせ、助け合いながら、工夫を凝らして、不安や困難を乗り越えていく。
「何物も恐れてはいけない、物事を諦めるな、投げ出すな」と教える父さんと、「美しい絹のショールのように柔らかく、美しく、明るく、しかも頑丈なところのある」母さんに見守られ、力強く成長していくローラは、何て幸せなんだろう。