榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

イギリス小説の傑作10作品の名場面が英語で味わえる優れ物・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3341)】

【読書の森 2024年6月4日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3341)

15mほど先の林道に一瞬出現したコジュケイ(写真1)の撮影に失敗、証拠写真とさえ言えないものしか撮れませんでした(涙)。ツチイナゴ(写真2)、キアゲハ(写真3)、アカボシゴマダラ(写真4、5)、サトキマダラヒカゲ(写真6)、ヒカゲチョウ(写真7)、ダイミョウセセリ(写真8)、ベニシジミ(写真9)をカメラに収めました。小さな男の子が捕まえたダンゴムシ(写真10)を見せてくれました。イチヤクソウ(写真11~13)が咲いています。タケノコ(写真14)が生えています。

閑話休題、『名場面の英語で味わうイギリス小説の傑作――英文読解力をみがく10講』(斎藤兆史・髙橋和子著、NHK出版)は、なかなかの優れ物です。

イギリス小説の傑作10作品――ジェイン・オースティンの『高慢と偏見』、チャールズ・ディケンズの『オリヴァー・トゥイスト』、シャーロット・ブロンテの『ジェイン・エア』。エミリー・ブロンテの『嵐が丘』、トマス・ハーディの『ダーバヴィル家のテス』、ジョウゼフ・コンラッドの『闇の奥』、サマセット・モームの『人間の絆』、E.M.フォースターの『インドへの道』、ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』、カズオ・イシグロの『日の名残り』――の名場面を英語で味わうことができるからです。

このうち7作品については、訳書で読んだ時の記憶が甦ってきて懐かしさを覚えました。未読の3作品も読みたくなってしまいました(もちろん、訳書でですが<笑>)。

各作品の英文読解の後に「名場面の名文句」というページがあります。例えば、『人間の絆』の場合は、「Life had no meaning.(人生に意味はない)」という言葉が採用され、「ここで重要なのは、『人生に意味はない』との(主人公)フィリップの悟りは、決して虚無主義を表すものではないということです。ここでフィリップが幸福感を得ていることはとても重要です」と解説されています。このように作品に対する奥深い読解が得られるのも、本書の魅力です。