ヴァージニア・ウルフは、どういう短篇を書いているのか・・・【山椒読書論(668)】
【読書クラブ 本好きですか? 2022年2月15日号】
山椒読書論(668)
ヴァージニア・ウルフは、どういう短篇を書いているのか気になったので、『青と緑――ヴァージニア・ウルフ短篇集』(ヴァージニア・ウルフ著、西崎憲編訳、亜紀書房)を手にした。
彼女の短篇の代表作とされる『青と緑』は、見開き2ページに収まる短さだ。
「玻璃(ガラス)の尖った指先はみな下方を差している。光はその玻璃を辷りおり、滴って緑色の水溜まりを作る。・・・伽藍とした空の下、目的のない波が騒ぐ。夜だ。尖った玻璃が青の滴りを落とす。緑の退場」。
「潰れた鼻の巨きな生き物が水面に現れ、ずんぐりとした鼻に並んだ孔から二本の水の柱を噴きあげる。水の柱の中央部は青白い炎の色で、飛沫が青い小珠(ビーズ)の房飾りのように周囲を彩っている。・・・何より大聖堂の傑れて、冴々として、香を含んだ青、聖母たちの被衣の、その精妙な青」。
識者は、この作品をさまざまに評しているが、うーん、正直言って、私には、よく分からない。判断は、あなたに任せるよ。