物語の役割とは、作家の役割とは・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3406)】
【読書の森 2024年8月10日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3406)
ツバメ(写真1~3)をカメラに収めました。ヒマワリ(写真4)、モミジアオイ(写真5、6)、アメリカフヨウ(写真7~9)、芳香を放つクサギ(写真10、11)、ハツユキソウ(写真12)が咲いています。因みに、本日の歩数は11,071でした。
閑話休題、『物語の役割』(小川洋子著、ちくまプリマー新書)は、小川洋子の講演集です。読者に物語の魅力を確認し、物語の役割に目覚め、読書の素晴らしさを感じてほしいという、著者の願いが込められています。
私なりに整理すると、そのポイントは3つになります。
第1は、物語はその本の中だけにあるのではなく、日常生活の中、人生の中にいくらでもある。例えば、非常に受け入れがたい困難な現実にぶつかったとき、人間はほとんど無意識のうちに自分の心の形に合うようにその現実をいろいろ変形させ、どうにかしてその現実を受け入れようとする。もうそこで一つの物語を作っているわけだ。
第2は、作家は現実の中にすでにあるけれども、言葉にされないために気づかれないでいる物語を見つけ出し、鉱石を掘り起こすようにスコップで一所懸命掘り出して、それに言葉を与える。自分が考えついたわけではなく、実はすでにそこにあったのだ、というような謙虚な気持ちになったとき、本物の小説が書けるのだ。
第3は、小川の幼時から思春期に至る読書経験。この部分は、小川ファンには垂涎ものだろう。