沖縄の貧困の原因は、沖縄の中にこそ、ある・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3422)】
ムクドリ(写真1)、ノシメトンボ(写真2)、シロテンハナムグリ(写真3、4)をカメラに収めました。ハツユキソウ(写真5~7)、キバナコスモス(写真8、9)、ヤマモモソウ(別名:ハクチョウソウ、学名:ガウラ・リンドヘイメリ。写真10、11)が咲いています。キヌカラカサタケ(写真12~14)が生えています。
閑話休題、『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』(樋口耕太郎著、光文社新書)は、沖縄の貧困問題の核心に鋭く切り込むことで、類書と一線を画しています。
●先ず、沖縄の貧困が指摘されます。
沖縄は日本でも突出した貧困社会であること、その貧困は肉体的、精神的、性的、親子面などのさまざまな虐待や、複雑な人間関係の問題と深く交差していること――が指摘されています。
●次に、貧困の根本原因が剔抉されます。
従業員が昇給を避け、消費者が無批判に同じものを買い続けるといった現状維持を強く望むウチナーンチュ(沖縄人)の性向が、沖縄社会を経済的に固定化し、沖縄企業の収益力を安定的に支えてきた結果、労働者はいつまで経っても、日本最低水準の賃金で働き、貧困は拡大し、子供たちの将来に暗い影を落としているというのです。すなわち、沖縄の社会構造が貧困を生み出していると同時に、沖縄経済が貧困によって維持されているのです。
●さらに、貧困を生み出す沖縄の社会構造の下に、もう一段、根本原因が存在すると喝破しています。
それは、沖縄人の自尊心の低さという、精神面の大問題です。自尊心が低い人は、失敗(正確には、失敗そのものよりも、失敗によって人から軽蔑されるリスクだが)を恐れ、挑戦を避ける傾向がある、失敗を恐れる人は創造的であり得ない、自尊心の低い社会からイノヴェーションは生じ得ない――というのです。
本書は、ウチナーンチュ(沖縄人)だけでなく、ナイチャー(内地の人、本土人)にも広く読まれるべき一冊です。