榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

本書のおかげで、読みたい本が8冊見つかりました・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3449)】

【読書の森 2024年9月21日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3449)

植物観察会に参加しました。シュウメイギク(写真1)、ユウガギク(写真2)、シラヤマギク(写真3)、マメアサガオ(写真4)が咲いています。スズメウリ(写真5、6)が花と実を付けています。ホオノキ(写真7)、ムクノキ(写真8)、エゴノキ(写真9)、イボタノキ(写真10)、ヌルデ(写真11)が実を付けています。ムクノキの実は美味でした。コツブキンエノコロ(写真12)が穂を付けています。マンネンタケ(別名:レイシ。写真13)が生えています。

閑話休題、『作家の読書道(2)』(WEB本の雑誌編、本の雑誌社)を読んでワクワクするのは、語られている作家たちの読書体験を共有できるからです。インタヴュアーのストレートな質問に、作家たちもストレートに答えていて、好感が持てます。

●古川日出男
今日はあえて(ガルシア・マルケスの)古いバージョンの『百年の孤独』を持ってきましたが、これには家系図がついていないんですよ。わけわかんない、何が起こっているかわからない、誰がおじいちゃんで誰が孫かわからない混沌としたものを読んだほうが、面白いんですよ。

●西加奈子
(西さんの)『きいろいゾウ』は、九州の田舎の村に住む夫婦の、ゆったりとした生活を描いた話。ムコさんとツマと呼び合う、本当にお似合いの夫婦なんだけど、彼らにも試練が訪れる。彼らも、それをうやむやにせず、自分らの傷と向き合おうとしますよね――インタヴュアー。

●山本幸久
(金井美恵子さんの『小春日和』は)読み返してボロボロになっています。これほどまでに気持ちよい文章を書ける人はいないんじゃないかと思う。皮肉がきいているのに、たまらなく面白い。

●法月綸太郎
僕はあまりみんなが挙げない(連城三紀彦の)『運命の八分休符』が好きなんです。この中の「観客はただ一人」という短編がお気に入りなんですよね。連城さんの短編の中ではおとなしいほうだと思いますが、逆転の発想であっと言わされました。

●辻内智貴
あれ(白石一文さんの『一瞬の光』)は一気に読みましたね。読み終えたのが、朝の8時でした。どんな本でも、読んでいてこっちが赤面しちゃうことってあるんですけれど、白石さんの文章にはまったくそれがなくて、本当に立派な本だと思いました。

●吉村萬壱
彼(コリン・ウィルソン)の『アウトサイダー』という本を読んだ。これが、ドストエフスキー、ニーチェ、ヘルマン・ヘッセ、イェーツ、ウィリアム・ブレイクら有名な作家のことがうわーっと書かれている、大ベストセラーになった本だったんです。コリン・ウィルソンは意識の拡大をテーマにしている。・・・コリン・ウィルソンの物差しだけでは測れない、文学の物差しがあるんや、とわかって。

これ(ポール・オースターの『最後の物たちの国で』)、すごく面白かった。泣いたんちゃうかな。あまりにも可哀想で、どうしようもなくなっている社会に、お兄さんを探しに行った女性が潜入してさすらう。そこは最悪の状態で、何の救いもない。こういうことは世界中に現実に起こっていることだと思いました。怖い、怖い小説でした。

●町田康
やめられなくなったのは(オノレ・ド・)バルザックの『ラブイユーズ』。ストーリーの力で引っ張っていくということもあるし、わけがわからなくてやめられなくなった、ということもあります。

本書のおかげで、読みたい本が8冊見つかりました。