容疑者を助けようとする天才数学者と、容疑者捜索に協力する天才物理学者の頭脳戦の結果は?・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3512)】
【読書の森 2024年11月19日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3512)
キセキレイ(写真1)、セギロセキレイ(写真2)、ハクセキレイ(写真3)、コサギ(写真4)、チュウサギ(写真5、6)、ダイサギ(写真7)、アオサギ(写真8)、アオサギの幼鳥(写真9、10)をカメラに収めました。
閑話休題、BSテレビ東京で放送されている、鈴木保奈美と角谷暁子が司会を務める読書番組「あの本、読みました?」は、毎週欠かさず見るようにしています。普通なら私が手にしないような本についての情報が得られるからです。先日の理系作家の特集で、東野圭吾が高く評価され、代表作として『容疑者Xの献身』が挙げられていました。
東野がヒット作を連発している人気作家であることは知っていたが、食わず嫌いで過ごしてきました。その私が『容疑者Xの献身』(東野圭吾著、文春文庫)を読み終えて感じたことが、3つあります。
第1は、番組が言っていたとおり、確かに理系の文章だなと納得がいったこと。読者に必要なことは伝えるが、不必要なことは極力省くという姿勢が貫かれているのです。
第2は、離婚した夫の殺害容疑者母子を助けようとする高校の数学教師と、容疑者捜索を担当する刑事に頼られて協力する一流大学の物理学准教授の智慧比べが本書の主要テーマだが、自分が数学教師であるかのような錯覚に襲われ続けたこと。天才的な数学者と天才的な物理学者の頭脳戦には、本当に痺れました。
第3は、最後の最後に待ち構えていた大どんでん返しには、大きくのけ反ってしまったこと。東野が多くの読者を惹き付ける秘密が分かりました。
本作品は『容疑者X』から『容疑者Xの献身』に改題されたようだが、私の敬愛する松本清張なら『黒い献身』としたかもと、ふと思いました。