君は僕にとって世界の縮図だ。・・・【ことばのオアシス(95)】
【薬事日報 2012年8月22日号】
ことばのオアシス(95)
君は僕にとって世界の縮図だ。
――ギヨーム・アポリネール
詩人、ギヨーム・アポリネールが、第一次世界大戦の前線からルイーズ・ドゥ・コリニーという女性に送った手紙の一節。愛する女性の存在が、世界全体に匹敵するというのだ。「君は詩だ。君の身振りの一つ一つが僕にとっては彫刻そのもの、君の肌の色は絵画そのもの、君の声は音楽そのもの、君の精神、君の愛は詩そのもの、君の姿と優美な力は建築そのものだ」の次に、上掲の文章が続く。
このような表現がなされているのは、恋愛の初期段階を既に通過し、濃密で、官能的な体験を経た二人の間だからだ、という小倉孝誠(『愛の情景』<中央公論新社>)の指摘は的を射ている。
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