赤穂浪士四十七士の中でただ一人、寺坂吉右衛門が切腹せず生き延びたのはなぜか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3538)】
【読書の森 2024年12月12日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3538)
アオサギとカワウとマガモ(写真1)、キジバト(写真2、3)、スズメ(写真4、5)、キダチアロエ(写真6)、ツキヌキニンドウ(写真7)、バラ(写真8)、ルリマツリ(写真9)、ハボタン(写真10)、トキワサンザシ(写真11)、タチバナモドキ(写真12)をカメラに収めました。
閑話休題、吉良上野介を討ち果たした赤穂浪士四十七士の中でただ一人、寺坂吉右衛門(信行)が切腹せず生き延びたのはなぜか。公儀の処断を恐れて逃亡したとか、大石内蔵助の密命を受けて脱出したとか、いろいろな説があるが、真相は未だに明らかになっていません。
池宮彰一郎がこの問題をどう解釈したのか気になって、吉右衛門を巡る連作端篇集『四十七人目の浪士』(池宮彰一郎著、新潮文庫)を手にしました。
「四十七士には斬られても傷つかぬ武装の利があっても、(吉良邸を守る)上杉勢が有する戦士の数は圧倒的である。両者は死力を尽してほぼ互角に渡り合い、一進一退の凄絶な死闘を続けた。その間、寺坂吉右衛門は(大石内蔵助に命じられた)伝令の役を務めた」。
深慮の人、内蔵助は吉右衛門に命じ、伝令として討ち入りの一部始終をつぶさに見た生き証人として、討ち入りの真相を主君・浅野内匠頭の未亡人や浪士たちの遺族と世間に伝えようとしたというのです。そして、吉右衛門は苦労しながら、その遺命を見事に果たしたというのです。
読み進めながら、何度も涙が滲みました。